ついに肉薄! 最新戦闘機F-15EX「イーグルII」圧巻の搭載力! 従来モデルと何が違う?
米国の航空ショーで、米空軍の最新戦闘機F-15EX「イーグルII」が展示されました。この機体の展示は、同ショーの大きな目玉のひとつ。実機を間近でチェックしました。
AIM-120ミサイルがなんと12発!
2024年7月22日から29日まで米本土で開催された「オシュコシュ航空ショー」(EAAエア・ヴェンチャ―)の会場において、アメリカ空軍の最新戦闘機F-15EX「イーグルII」が公開されました。この機体の展示は、同ショーの大きな目玉のひとつ。早速、筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)は実機を間近でチェックしました。
F-15EXは空戦、爆撃、偵察など幅広い任務に対応する「マルチロール機」として生産されてきたF-15Eシリーズの最新型。この機体は、2021年に初号機がアメリカ空軍に引き渡され、各種試験ののち、2024年6月より量産型の部隊配備が始まっています。
最新鋭機が民間空港で開催された航空ショーで展示されたため、機体周囲にはロープが張られ、銃を携えた兵士が警備するなか、AIM-120ミサイルをなんと12発携行した形態で展示されました。
F-15EXの特徴は、脅威が高い環境下で過酷な任務を遂行するため、機体の後部にセンサーを備えていること、そして兵装を取り付けるハードポイントの数の増加により、兵器搭載能力が向上していることなどが挙げられます。
さらに、F-15シリーズでは初めてゼネラル・エレクトリック社製「F110」エンジンを装備していることも従来モデルとの大きな違いといえるでしょう。F110エンジンはこれまでのF-15に使用されてきたプラット・アンド・ホイットニー製F100 エンジンと大きさ・出力は同じです。
一方で、F110はF100と比べて、燃焼しない気流と、エンジンコアを通過して燃焼する気流との比率「バイパス比」が高く設定されています。つまり燃焼しない気流を吐き出す量が、F110の方が多いのです。この違いにより、F110エンジンは亜音速飛行時の燃費に有利な反面、超音速飛行時は不利となります。
このF110エンジンの採用に関しては、最初から空軍が指定したため、過去にプラット・アンド・ホイットニー社がF100との比較審査を求める一幕もありました。空軍としてはF-16において両方のエンジンの使用実績から、F-15EXの使用が想定される任務「ミッション・プロファイル」に最も適したエンジンは、F110であるとの結論を下した形です。
オシュコシュ航空ショーの展示機は2024年1月、メキシコ湾上空の試験空域でAIM-120D空対空ミサイルの試射テストを行った後、5月にアラスカで行われたノーザンエッジに参加し、多重の電波妨害が実施された環境下におけるGPSやレーダー機能の状況を確認。これにより、第4世代機、第5世代機との相互運用性(インターオペラビリティ―)が確認されたと発表されています。
なお、展示機の拠点であるエグリン基地では、今後も3機のF-15EXを使用して各種試験を行う予定とのこと。ちなみに、アメリカ空軍は、沖縄県の嘉手納基地にF-15EXを配備するとも明言しています。
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Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
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