「新基準原付?税金は『自動二輪』ですよ」 ユーザーが望まない“原付消滅” 税負担だけアップ!? 分厚い“縦割りの壁”
排気量50ccエンジンを搭載する原付バイクの生産中止がニュースになり、全国400万台の届出原付の未来が危ぶまれています。「新基準原付」はその打開策となるはずですが、門前に税金問題が浮上しています。
運転ルールは「原付」と同じ でも税金は「自動二輪」に?
排出ガス規制などの強化によって、排気量50ccの「原付」エンジンバイクが生産中止を迎えることは、すでによく知られています。最近よく目にする「新基準原付」は、50ccバイクがショップから消える、という“異常事態”で、国民の安価な移動手段を失わないための対策。経済産業省、警察庁、国土交通省と二輪車業界が官民共同で練り上げたバイクの新しい規格でした。
ところが、約2年をかけて車両基準の合意に達したこの段階になって、課税当局が「新基準原付」は「原付」ではない、税制改正プロセスに乗せるべきだ、と主張していることがわかりました。
根拠は地方税制に定められた税区分にあります。排気量50cc以下の「原付」は税法上、50cc以下または定格出力0.6kw以下の車両で、税負担は軽自動車税2000円です。
一方、「新基準原付」は最高出力4kw以下で排気量125cc以下のエンジンを搭載するバイクを、従来の排気量50ccバイクと同じとみなし、原付免許で運転できるように定めた制度です。しかし税法上の「種別」に「新基準原付」はありません。仮に、これから登場する新基準原付対応のバイクが排気量125ccであれば、軽自動車税は2400円です。
「新基準原付」は50cc以上といえど、道路交通法上は二段階右折、最高速度30km/hで、得られる便益は「原付」ですが、税負担だけが「自動二輪」並みに――この税法と実態の矛盾を解決するためには、税制を改正する必要がある、というのが非公式な協議での課税当局の見解です。
そのため、新基準原付の規格作りでとりまとめを担った経済産業省は、8月末にも税制改正要望を総務省に提出。自民党・公明党の与党税制調査会が審議します。その結果は12月末の与党税制改正大綱で公表されます。
ここで、新基準原付の課税は「原付」とすべきという方向が打ち出され、さらに「税制改正の大綱」が閣議に提出された後に、2025年の通常国会で税制改正が審議されます。
税制改正のプロセスは公開されませんので、ユーザーが、この矛盾についてチェックできるのは、2024年8月末の税制改正要望の内容と、与党税制調査会が公表する12月末の税制大綱だけです。
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