自衛隊でも激レア技能! LCACシミュレーターを体験 フネというより回転翼機?

令和6年能登半島地震の際に活躍した海自のLCAC。操縦はクセ強で、慣れるには約半年の訓練が必要とされますが、このたびそのシミュレーターを体験する機会がありました。感覚は、回転翼機で海面ギリギリを飛行するようなものでした。

日本唯一のLCAC操縦シミュレーター

 海上自衛隊のLCAC(エアクッション艇)は、島嶼部が多い島国である日本にとって重要な装備のひとつで、2024年1月に発生した能登半島地震での活躍はよく知られています。
 
 戦車のような重量物を搭載し、かつ高速航行からそのまま上陸できるという水陸両用性が最大の特徴ですが、その取り扱いや操縦法は非常に独特で「クセ強」なフネです。そのため、要員は専門の教育を受ける必要があり、広島県にある海上自衛隊の呉造修補給所工作部エアクッション艇整備科の敷地内には、LCACの整備施設とともに、教育訓練用の専用施設が設けられています。

 建物を管理するのは呉水陸両用戦・機雷戦戦術支援分遣隊のエアクッション艇教育科。中には日本唯一のLCAC操縦シミュレーター「Full Mission Trainer」(略称FMT)がありました。

Large 00

拡大画像

エアクッション艇LCAC(画像:海上自衛隊)。

 LCACの乗員はクラフトマスター(艇長、操縦士)、エンジニア(機関士)、ナビゲーター(航法士)、ロードマスター(見張り、荷役)、デッキエンジニア(エンジニア補佐)の通常5名で構成されており、教育科ではクラフトマスター、エンジニア、ナビゲーターの養成および錬成支援が行われています。ロードマスターとデッキエンジニアの訓練は実戦部隊である第1輸送隊でOJTを通じて行われます。

 FMTは油圧シリンダーを使用して艇の挙動を再現しており、その外見は航空機用のフライトシミュレーターに似ています。操縦席は飛行機とは異なり3席が横並びで配置され、右からクラフトマスター、エンジニア、ナビゲーター席となっています。操縦桿は右席のクラフトマスターのみが操作します。

 シミュレーションでは天候、時間、海上および地上の状況、緊急事態などの多様なシナリオ設定が可能です。窓からは外の景色が見え、浮上用リフトファンを起動すると艇が浮き上がるのが感じられ、外には水しぶきが巻き上がります。視界が悪化する状況もリアルに再現されます。

【実物】これがLCAC操縦シミュレーター「FMT」です

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。