地下鉄車内で“愛を育む”!? 地方モーテルのめくるめく「フェチ戦略」が振り切ってる! 変化した台湾クルマ旅事情

「クルマ旅専用ホテル」から「特化型ラブホテル」に移行?

 ただし、近年の台湾では汽車旅館のニーズが減少傾向で「過渡期」ともいわれます。その理由は「移動費が割高になるドライブ旅をする人は、そもそも、そんな安い施設に泊まらない」こと。そして、汽車旅館の多くがもともと「ラブホテル」的な意味を持つところも多く、家族や友人などで巡ることが多いドライブ旅のニーズと少々ズレがあることです。

 そんな中、「いっそラブホテルとしての付加価値を持たせたほうが商売になる」と考えたのか、「クルマ旅専用ホテル」という概念をすっ飛ばした部屋を用意する汽車旅館が出始めています。

 とある汽車旅館には「漂流船」風の部屋があり、船を模した台座の上にベッドが置かれているほか、壁には海面を進む船上にいるかのようなデザインの壁紙が貼られています。さらに「ジュラシック・パーク」風の部屋もあり、恐竜に囲まれながら愛を育むという寸法です。

 さらに別の汽車旅館はフェチ特化型に舵を切り「教室」風の部屋を用意。禁断の愛を分かち合うようです。一方で、鉄道ファン向けか「MRT(地下鉄)」風の部屋も。MRT車内を模したプレイルームのほか、プラットフォームに突然ベッドルームがあるという、かなり無理な設定でしたが、謎の熱意にただただ頭が下がるばかりです。

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ガレージつきの「部屋」が並ぶ汽車旅館。チェックインした後、指定された番号へ(松田義人撮影)。

 言い換えれば、これほどまで付加価値を持たせないと成立しにくくなっているのもまた、今の汽車旅館を取り巻く現実です。また、中には汽車旅館を改装し、複数の旅館に名を分けて営業するところも出始めました。これは、旅行予約サイトなどの金額比較などを見て、相対的に金額を調整し、利用者を誘導するためではないかと考えられます。

 ちなみに、このようにして新たに開業された複数の旅館全てが、おそらく同じ業者により運営されているものと思われます。

【了】

【え…】船で、教室で… これがフェチ全振りした「モーテル」です(写真)

Writer: 松田義人(ライター・編集者)

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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