自衛隊の手本になるか? 空母の甲板に空軍戦闘機が並んだワケ「カヴール」来日で見た不思議な光景

なぜ海軍の空母に空軍の所属機が?

 来日した空母「カヴール」の飛行甲板には、7機の「ハリアーII」(1機は訓練用の複座タイプ)と共に8機のF-35Bがズラリと並べられていましたが、そのうちの2機、「32-14」および「32-18」号機の尾翼に描かれた部隊マークに筆者は注目しました。

 その2機の部隊マークは、つい先日、三沢基地に飛来していたイタリア空軍のF-35Aと同じものだったからです。それは「襲撃する鷲」のマークでお馴染みのイタリア空軍第32航空団所属機、残りは「狼達」マークの海軍第4航空隊に所属する機体です。どうして海軍所属の空母に空軍所属の戦闘機が積まれていたのでしょうか。

 それはF-35B戦闘機を海軍が導入した当初、先行運用していた空軍から機体やパイロット、整備員を借りる形で共同訓練していたからだといいます。ただ、これも次第に海軍の機体や人員に統一される予定だと思われます。

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右舷後方に搭載された連絡艇2隻の上側、飛行甲板には3機のF-35Bが見えるが、いちばん左の「32-18」号機の尾翼に描かれた部隊マークは海軍ではなく空軍のもの(吉川和篤撮影)。

 なお、こうした先行運用している側からのサポートは、日本におけるF-35Bの導入でも考慮されており、実際、母艦となる予定のいずも型護衛艦は海上自衛隊所属ですが、艦載機のF-35Bは航空自衛隊が一括運用する計画で、両自衛隊による統合的な運用になる模様です。

 今回ホストシップを務めた護衛艦「いずも」は、まさにF-35Bの導入に合わせて本格的な空母への改装が控えています。それが実現して数年後に再び空母「カヴール」が来日した暁には、両国のF-35B「ライトニングII」が飛び交い、洋上で共同訓練が行う日が訪れるのかもしれません。

【了】

【話題の夜間ライトアップも】これが「カヴール」に乗っていた空軍戦闘機です(写真)

Writer: 吉川和篤(軍事ライター/イラストレーター)

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集~チハから新砲塔チハまで~」「第二次大戦のイタリア軍装写真集 」など。

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