「世界最大の飛行機」をはるかに超える!? デカすぎ輸送機の開発は何のため? F-16が6機も積める!

翼幅がA380よりも小さいのはなぜ?

「ウィンドランナー」はその全長にもかかわらず、翼幅はエアバスA380よりもわずかに小さい80mに設計されています。そのため、多くの既存空港や格納庫を利用でき、新たなインフラ整備の必要がないことも利点とされています。

 さらに、最小滑走路長は1800mと比較的短く、簡易舗装滑走路でも使えます。これは風力発電所に付属する簡易的な空港設備で運用することを念頭に置いているからです。

 しかし、アメリカ大陸での風力発電ブレード輸送に特化した設計のため、最大航続距離は2000kmしかありません。An-124が1万5000km、短いといわれた日本のC-1でも最大2400kmあります。機体の容量から燃料タンクの増設は可能でしょうが、その分のペイロードは減ってしまうというジレンマがあります。

 また軍用輸送機としては戦車のような「密度の高い」装備品の輸送には向きません。アメリカ陸軍のM1A2主力戦車は全長9.83m、全幅3.7mですが、重さは約70tあるので1両しか載せられません。全長が半分の53mである、アメリカ空軍のC-17輸送機と同じです。

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既存大型輸送機との比較。左が「ウィンドランナー」、中がAn-124、右がB-747-400。機首貨物扉開口部も際立って広い(画像:ラディア)。

 こうして見ると一長一短な「ウィンドランナー」ですが、初めは宇宙機輸送用だったAn-225も日本を含む世界中で活躍し、戦火で破壊されると惜しむ声が多く上がりました。ちなみに愛称「ムリヤ」はウクライナ語で「ドリーム、夢、希望」を意味します。

 ラディアは、現在の大型貨物輸送機の不足を背景に、軍事部門や商業部門においても需要があると見込んでいます。重量ではなく容積の移動を重視するという新たなアプローチは、今後の物流市場や軍事輸送の形を変える可能性を秘めているかもしれません。

【了】

でっか…!! これが世界最大の輸送機「ウィンドランナー」です(画像)

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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