警笛プ―――!! 海自艦&アメリカ艦の訓練に“招かれざる客”急接近 じつは「よくあること」?

救助者の処置手順は

 訓練で日米艦は、個別に分担してそれぞれが10km四方の海面を捜索。「アメリカ」はMH-60Sヘリコプター、「しもきた」はラバー製の小型ボートCRRC(Combat Rubber Reconnaissance Craft)を出しました。共同訓練とはいうものの両艦の距離は10km以上離れ、「アメリカ」の姿はうっすらとシルエットしか見えません。海は広大で晴天昼間でも捜索の難しさを実感します。

 CRRCは陸上自衛隊の水陸機動団が運用する上陸用の装備です。災害派遣でLCACは注目されますが、CRRCも小回りが利き高速で使い勝手は良いのです。

 要救助者を収容したCRRCはそのままウエルデッキに引き上げられ、救助者はエレベーターで医療室に運ばれます。艦橋構造物内の第1甲板レベルには手術室、歯科診療室、集中治療室(2床)、病床(6床)を備えた医療設備があります。飛行甲板から扉1枚でアクセスできるレイアウトになっており、水陸両用作戦で負傷した隊員をヘリコプターで収容、ただちに治療できるように考えられています。

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海岸からの誘導で沼津海浜訓練場に上陸するLCAC(月刊PANZER編集部撮影)。

 この訓練では救助者を「しもきた」で応急処置の後、より高度な医療設備を持つ「アメリカ」に移送するシナリオで、「アメリカ」のヘリコプターが着艦しました。「しもきた」艦内には海自の青色迷彩作業服と陸自の緑色迷彩作業服の隊員が混在して活動していますが、役割分担は明確で連携もよく、救助者の治療指揮は衛生要員の腕章を付けた陸自隊員が行っていました。

 ちなみに衛生要員の腕章は単なる標識ではなく、幕僚長らが発給するもので幕僚長印が押され、階級に関係なく保健衛生および医療等に関する指示を出す資格を示す重要なものです。公開されたのは災害対応ですが、日米の揚陸艦、海自、陸自が共同訓練を重ねて連携を確認し、本来任務である島嶼防衛を強く意識したものであることは間違いありません。

近づくな! 物珍しさに接近してくる様子(写真)

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