「プロペラ裏からズドドドって弾が!?」“フォッカー懲罰”プロペラ撃ち抜かないを搭載した初の戦闘機が与えた衝撃とは

第一次世界大戦の初期、プロペラを撃ち抜かない画期的な機能「同調機関」がドイツで開発されました。この機能を初搭載したのがフォッカー「アインデッカー」で同機の活躍はイギリスでは「フォッカー懲罰」と呼ばれました。

プロペラの隙間から弾を撃つ画期的な機体

 1914年7月から1918年11月まで欧州を中心に世界中が戦場となった第一次世界大戦は、現代につながる新たな兵器が数多く開発された戦争でもあります。中でも戦闘機の開発は、後に空戦、空軍の登場・発展につながる大きな革新だったと言えるでしょう。その端緒のひとつといえるのが「フォッカー懲罰」と呼ばれる出来事です。

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同調機関を初めて搭載した戦闘機フォッカーアインデッカー(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 第一次世界大戦の勃発直後から、偵察機として使用された飛行機は、戦場の様子や敵陣地のありようなどをすべて暴く恐ろしい兵器となり、その偵察機を撃墜するために戦闘機が生まれ、その戦闘機を撃退し航空優勢を取るために空戦が始まりました。

 そのころ、戦場に送り出されたドイツの戦闘機がフォッカー「アインデッカー」です。「アインデッカー」とは、単葉機を意味するドイツ語でさまざまなバリエーションがありました。そんな同機の最大の特徴は、パイロットがプロペラを撃ち抜くことなく機関銃を発射できる「同調装置」という装置を史上初めて備えたことです。

 原理としては、機銃の前にプロペラのブレードがある場合に限って、弾丸を発射できるようになっています。そうすると、次のブレードが銃口の前に来るごく短い時間の間で、弾丸が通りすぎるようになっています。

 同調装置の登場により、前方で機関銃を撃つために、邪魔なプロペラを離着陸時に破損する可能性がある機体後部に設置する推進式機にする必要も、別に機関銃手を置いて射撃させるという重量と面倒を増やすこともなくなりました。さらに、パイロットにとっても、照準しやすい目線と同じ位置に機銃があるため、命中精度が各段に向上するというメリットをもたらしてくれるものであり、純粋に空対空戦闘を追求した最初期の軍用機だと言える存在でした。

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