「プロペラ裏からズドドドって弾が!?」“フォッカー懲罰”プロペラ撃ち抜かないを搭載した初の戦闘機が与えた衝撃とは

第一次世界大戦の初期、プロペラを撃ち抜かない画期的な機能「同調機関」がドイツで開発されました。この機能を初搭載したのがフォッカー「アインデッカー」で同機の活躍はイギリスでは「フォッカー懲罰」と呼ばれました。

実は「懲罰」にはかなり誇張も入っていた?

 1915年夏、フォッカー「アインデッカー」が戦場に登場すると、その単葉機ならではのスピードと、プロペラの隙間から繰り出される強力な機関銃の攻撃力、そして優れた命中精度に、まだ軽武装の偵察機しか持たなかったイギリス軍航空部隊は恐怖しました。

 新聞などのメディアは、その様子をことさら強く伝え、そこから「フォッカーの懲罰」や「フォッカーの餌食」という言葉が生まれます。自国の航空機は、まるで罰を与えられたかのようにやられてしまった、というのです。

 なお日本語では「懲罰」という言葉があてられることが多いこの言葉ですが、実際の英語では「Fokker Scourge(フォッカーの災難)」という言葉が使われており、イギリスから見たら、フォッカー「アインデッカー」は、天災・災害のように大きな力で避けがたい、災難のようなものと考えられていたようです。

 しかし、この「フォッカーの懲罰」ですが、実際のイギリス軍の被害はそう大きなものではなかったことがわかっています。1915年夏の時点でフォッカー「アインデッカー」は、6機1編隊の偵察機部隊に1機が割り当てられて護衛として配備されているだけで、数も多くありませんでした。

 7月1日の時点で、フランスのモラーヌ・ソルニエ L複座パラソル単葉機を撃墜したという未確認の記録が残されているものの、その後の半年間で撃墜された連合国軍の飛行機は偵察機と軽武装戦闘機合わせて19機。そのうちフォッカー機によって撃墜されたイギリス機は9機だけでした。

 この数は、その後1917年と1918年に起こった激しい空戦で失われた飛行機と比べるとはるかに少ない数です。ドイツ軍はこの時点では戦闘機部隊もまだ発足しておらず、フォッカーアインデッカーも、武装こそ先進的ではありましたが、機体自体は平凡なものだったと言います。

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フォッカー「アインデッカー」の対抗機体として登場したイギリス軍のFE2(画像:パブリックドメイン)。

 にもかかわらず、なぜ「フォッカーの懲罰」などという言葉が生まれ、連合国軍の飛行機が「フォッカーの餌食」などという名で呼ばれるようになったのでしょうか。

【あれ機銃は…そこか!】プロペラを撃ち抜かないために変な場所に付けたニューポール11(写真)

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