このままじゃ中国に勝てない… 米空軍の焦りの理由は「空対空ミサイル」!? その最新事情とは
すでに初使用から30年以上経つ「アムラーム」
AIM-120シリーズは1991年に初めて実戦投入されて以来、多くの戦果を挙げており、その優秀さが実証されています。また、数度にわたる大幅な改良も行われており、現行型のAIM-120Dは最初期型であるAIM-120Aに比べて射距離が2倍に延伸され、最大160kmに達しています。
しかし、AIM-120の射距離延伸はロケットモーターの推力を小さくし燃焼時間を延長することで実現したものであるため、加速性能の低下という代償を伴っています。そのため、射距離の改善は限界に達しています。
アメリカでは、可能な限り一刻でも早くAIM-260を開発し実戦配備することが求められていますが、現在のところその姿は一度も公開されておらず、実態は不明です。開発進捗も遅れているとの情報があり、実用化時期は不透明ですが、そう遠くないうちに日の目を見ることが期待されています。
なお、アメリカ海軍ではSM-6「スタンダード」の空中発射型AIM-174の開発も進められており2024年にはじめて一般公開されました。こちらは超大型の空対空ミサイルであり、AIM-260と競合するかどうかは不明です。
いずれにせよ20世紀初頭の世界を制してきた、「アメリカ製戦闘機×AIM-120」という組み合わせの黄金時代は、当面は終わりを迎えるわけではないにしても、より強力な組み合わせに世代交代することになるのは間違いないでしょう。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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