「輸送機」だけど旅客機エコノミーよりイイ!? 中東へ向かった空自C-2の居心地 先代C-1と“雲泥の差”のワケ
なぜC-1の乗員向け設備は最低限なのか
自衛隊の海外派遣は現在、主要任務として広く認知されていますが、C-1の「使わないトイレ」とC-2の「使えるトイレ」の違いは、自衛隊の輸送機の任務、ひいては自衛隊の任務の変容の歴史を象徴しています。
C-1の航続距離は空荷時で2400km、最大積載量8tを積載すると1500kmになります。ちなみに羽田空港から那覇空港までが1687kmですので、いかにも短いことが分かります。一方のC-2は空荷時で9800km、最大積載量36tでも4500km飛べます。美保基地からヨルダン(アンマン)までの飛行距離は約8600km、ギリシャ(アテネ)までは約9100kmですので、空荷であればノンストップで飛行可能です。
C-1が計画された1960年代は「日本再軍備」が警戒される時代で、輸送機を国産するというだけで国会の議論となる有様でした。そのため「他国の脅威にならない」という政治的配慮で航続距離はわざと短く設定、すなわち「C-1は日本国内のみで使う専守防衛用輸送機」となったわけです。
一方のC-2は、時代が変わり海外派遣も任務となった現代の自衛隊用の輸送機といえます。巡航速度はマッハ0.8(約988km/h)であり、「空のハイウェー」である国際線航空路にものることができます。ノンストップの巡航速度で美保基地からヨルダンまでの所要時間は約8.7時間、ギリシャまでの所要時間は約9.2時間となります。
C-2は国際線仕様ということで、トイレ以外にも乗員仮眠用ベッドが2床、配食用にレンジと冷蔵庫、ドリンクマシン、旅客機と同じ構造のギャレーも備えられています。海外派遣任務の際、むやみに日本から食料を持ち込むと検疫などの問題も生じるそうで、派遣先でケータリングサービスを受けることが多いため、旅客機と同じギャレーの方が、使い勝手が良いそうです。
三保基地⇒美保基地
美保基地では?