「北欧メーカー」がいつの間にやら「中国企業」に SAABのクルマ“涙の消滅劇” いま中古車高騰!
SAABの名を広めることになったサーブ900
この99ターボ発売の翌年、1978年に発売となったのがサーブ900で個性的なデザインとパワフルなターボエンジンで、さらにSAABの名を世界に広める格好になりました。ちなみに日本に輸入されたのは1979(昭和54)年以降で、その輸入第1号車に乗ったのはテリー伊藤さんだと言われています。
SAABはその技術力の高さと個性でブランド名を世界に広めていったわけですが、この間にSAABブランドと出発点のメーカーが分かれることにもなりました。
まず、前述のサーブ・オートモービルの親会社で、航空・軍需品メーカーだったスウェーデン航空機会社(最初のSAAB)は、1968(昭和43)年にトラック・バスメーカーだったスカニアVABISと合併。サーブ・スカニアとして再出発しました。
また、サーブ・オートモービルは1989(平成元)年にアメリカの自動車メーカーであるゼネラルモーターズ(GM)の傘下に入り、2000(平成12)年には完全子会社化。前述のサーブ・スカニアとは全くの無関係の会社になりました。
GMの子会社となったサーブ・オートモービルは、後に9-3、9-5といったモデルを発売しますが、ヒットには至らず、さらには親会社のGMが2009(平成21)年に破綻。そこでサーブ・オートモービルは、オランダのスーパースポーツカーなどを手掛けるスパイカー・カーズに売却されます。
しかし、ここでもヒット車種を出すことができず、2011(平成23)年には破産。翌年の2012(平成24)年に中国でクリーン・エネルギーなどの事業を行うNMEホールディングが、サーブ・オートモービルの知的財産と工場を買収しました。
NMEホールディングに買収されたあと、しばらくはSAABブランドで9-3、9-5を販売していましたが、ここでも収益化には至らず、2016(平成28)年にブランド名をNEVSに統一することで、SAABのブランド名は完全に消滅しました。
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