橋の上で列車が止まった!?→駅でした 至近には“同名の”別駅も ダブル異色駅へ行ってみた
対岸のトロッコ保津峡駅へ
保津峡駅は無人で、駅舎に自動販売機と自動改札機、改札外にトイレと飲料の自販機があります。駅周辺に人家はなく、最も近い場所が柚子で有名な水尾集落です。4km離れており、白ナンバーの自家用バスが駅とを1日5往復しています。なお、水尾集落を通じて愛宕神社・愛宕山への登山道が続いています。
トロッコ保津峡駅とは1.1km程度の距離があります。日本では珍しい、橋桁と橋脚が一体化したラーメン構造の保津峡橋を渡り、対岸からトロッコ保津峡駅に向かいます。アップダウンが激しい道を歩いて、徒歩15分ほどです。紅葉の季節であれば、最高の景色になると感じる、緑深い山々も見えます。
大きな吊り橋の鵜飼橋を渡り、再び保津川を越えると、トロッコ保津峡駅です。旧駅時代は鷺沢萠の小説『岸辺の駅』の舞台となったほか、映画『蒲田行進曲』『姉妹坂』、テレビドラマ『横溝正史シリーズII・八つ墓村』のロケ地にもなりました。八つ墓村への最寄り駅として、鵜飼橋も登場しています。
トロッコ保津峡駅からもまた、素晴らしい景観が望めます。山陰本線だった時期は相対式ホームの2面2線でしたが、嵯峨野観光鉄道になってから不要な列車交換設備は廃止され、線路があった部分に新しいホームができました。しかし、旧ホームや跨線橋は撤去されたわけではないので、かつての交換駅をしのぶことができます。
ホームには信楽焼のタヌキの置物があり、記念撮影する人も見られました。駅舎はありますがこちらも無人駅で、乗車券は車掌から購入します。保津峡駅とは保守用通路でつながっていますが、嵯峨野観光鉄道開業後は通行禁止となっています。近隣はハイキングコースとしても知られています。
周囲は静かで、列車の到着時だけ走行音が響いていました。
【了】
※一部修正しました(10月27日19時45分)。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
誤「鎌田行進曲」
正「蒲田行進曲」
ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。