“オスプレイよりデカい”垂直離着陸機は実現する? 軍が求める「スゴイ輸送機」よくばり要件に応える企業とは

空軍や海兵隊も欲しがる機体 どんな運用を?

 アメリカ空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)司令官のマイケル・コネリー中将は「長い滑走路が無い場所へアクセス可能、高速、長い航続距離、目立たない、という能力は、どの戦闘指揮官にとっても魅力的だと思います」と述べているように、C-130サイズのSPRINT輸送機にはSOCOM以外にも、アメリカ空軍や海兵隊も関心を示しています。

 アメリカ軍はインド太平洋地域で、中国のような潜在的敵国との戦闘では分散作戦を想定しています。既存の大規模基地は中国の長距離兵器に対する脆弱性が指摘されており、インフラが限られている遠隔地の前線基地を含む多数の作戦場所に、戦力を広く分散させることが必要とされているのです。

 海兵隊は「フォースデザイン2030」のなかで、中国に対抗するため戦車などの重装備を削減して機動力を重視し、長距離精密兵器を小規模に分散させる方針を取っています。これらの戦力展開にSPRINTが適していると見なしています。

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破壊された滑走路から離陸する高速・滑走路非依存特殊作戦輸送機のコンセプトイメージ(画像:オーロラ・フライト・サイエンシズ社)。

 しかしコンセプトイメージのようなSPRINT輸送機の実現性はどの程度あるのでしょうか。

 このようなVSTOL機のアイデアは飛行機の黎明期から様々ありますが、成功して実用化された機体は少数です。VSTOL機はエンジンの動力のみで機体を浮揚させるパワード・リフトが必要で、機体は軽量に、エンジンは強力であることが求められますが、輸送機は荷物を載せて必然的に重くなりますので、より技術的ハードルは高くなります。

【イメージ図】これが進化したVSTOL輸送機です!

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