“オスプレイよりデカい”垂直離着陸機は実現する? 軍が求める「スゴイ輸送機」よくばり要件に応える企業とは
提案企業からして「理想」で終わる可能性も
オーロラ社のコンセプトイメージでは、リフトファンを組み込むファン・イン・ウィング(FIW)方式となっています。ただしリフトファン方式は、F-35B戦闘機で実用化に成功しています。
オーロラ社によれば、中央胴体の左右両側に1基ずつ、機首に1基の計3基のリフトファンを備えた翼幅1.4mのモデルで試験を行い、技術的問題を検証したといいます。この検証結果をふまえて翼幅45フィート(13.7m)、積載量1000ポンド(453kg)、最高速度800km/h以上の無人デモ機を設計しました。
飛行には小型で軽量かつ強力なエンジンが必要になりますが、新規開発は行わず、既存のターボファンエンジンとターボシャフトエンジンを用い、開発期間短縮とリスクを抑えるといいます。なお、どんなエンジンを使うのかは不明です。
デモ機の初飛行は2027年を目指していますが、実用化の目途が立つかは分かりません。前出のコネリー中将も9月の空軍協会で、「SPRINTのデモ機のサイズは乗用車からC-130クラスまで提示されているが、空軍は輸送機といえば大量輸送をイメージしており、開発進捗に注視している」と述べています。
オーロラ社は、ボーイングがチャレンジングな研究を担わせるために設立した子会社であり、オーロラ社が主契約者になっていること自体が必ずしもSPRINT輸送機の実用化を目指しているわけではないことを示唆しています。しかし、中国を意識するアメリカ軍のニーズは切実です。
【了】
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
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