まさに異形!?「まな板付けたビジネスジェット」な攻撃機 採用決めた米空軍の意図とは
40年使った先代「コンパスコール」は退役の予定
既存の「EA」ナンバーを持つ機体には海軍の艦上機EA-18G「グラウラー」があります。同機はF/A-18F「スーパーホーネット」を原型とする電子戦機で、主に地対空ミサイルを無力化する敵防空網制圧ミッションに投入されます。
そのため、EA-37Bもそうした作戦へ投入されることを強調するために、電子攻撃機を意味する「EA」ナンバーに改められたのだと考えられます(ただしEA-18Gは攻撃兵器を搭載することも可能な点で大きく異なる)。
興味深いのは、EA-37という名称が、かつてベトナム戦争で活躍したセスナA-37「ドラゴンフライ」という攻撃機と重複していることです。しかし、両者は全く異なる機体です。A-37が爆弾やロケット弾で地上目標を攻撃したのに対し、EA-37Bは電波で敵の電子システムを攻撃します。ゆえに、同じ名前でありながら、その役割は天と地ほども異なります。
EA-37Bの合計取得数は10機を予定しており、1980年代から使用されているEC-130H「コンパスコール」を置き換える見込みです。双方の機体とも愛称は「コンパスコール」であるため、日本風にいうなら「襲名」と形容できるかもしれません。
初代「コンパスコール」はプロペラ機でしたが、新たな「コンパスコール」はジェット機です。これにより、戦場における機動性と生存性の向上が期待でき、ミッション効率は格段に上昇すると期待されています。
なお、このような高速化は国家間の戦争、ひょっとしたら対中国を意識したものと受け取ることができます。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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