【空から撮った鉄道】ドクターイエローのダイヤ公表!? これは撮らねば…! 引退前にレアな出区を狙う

東海道新幹線の新幹線電気軌道総合試験車923形「ドクターイエロー」は非公開の運行ダイヤですが、2024年10月12日はT4編成とT5編成が体験乗車のために時刻を公表して走行しました。引退迫るJR東海所属T4編成の大井車両基地出区シーンを紹介します。

この記事の目次

・引退迫るJR東海のT4編成
・夕方に回送線を走る、滅多にない光景
・季節外れの気温 バンク角… やや骨の折れる空撮に
・秋の夕方 「伸びる影」をどう使うか

【画像枚数】全10点

引退迫るJR東海のT4編成

「ドクターイエロー」は700系をベースにした東海道・山陽新幹線の検測車です。鮮やかなイエローを纏い、非公開の運行ダイヤゆえにレアな存在となり、人々から「見たら幸せになれる」と言われ、子供から大人まで大注目を浴びる人気者です。近年は見学会も行われ、人々に触れられる機会が多くなってきました。

 しかし、性能の劣る700系をベースにしていることから、試験機器を営業車両のN700S系へ搭載することとなり、ドクターイエローは2025年1月にJR東海所属のT4編成、2027年度中にJR西日本所属のT5編成が引退します。引退報道は瞬く間に全国へ駆け巡り、いよいよ「黄色い幸せの新幹線」も見納めとなってきました。

Large dryellow 01

拡大画像

西陽を浴びて発車の時を待つ。出発時の停止位置は着発線の南側となるが、短いドクターイエローの場合はこの位置になるのかと、実際に飛行して分かった(2024年10月12日、吉永陽一撮影)。

 そして東海道新幹線開業60周年を記念して、2024年10月12日にT4とT5編成が走行するという、東海道新幹線はじまって以来のイベントが開催されました。双方の編成には抽選で乗車でき、見事当選した幸せな人々が東京~新大阪間に乗車して体験走行を堪能しました。

 この体験乗車はツアー形式であり、事前に大まかな時刻が公表されました。普段、ドクターイエローが走行するときは情報戦さながらで、鉄道ファンは、何日に走るか、時刻は何時かと予想して撮影します。

 この日に限っては、T5編成が東京14時51分発→新大阪17時24分着、T4編成が東京15時51分発→新大阪18時24分着と、編成まで公表されました。午後の遅い時間帯に大井車両基地を出区して東京駅を発車する姿は、私が空撮を始めてから今までありません。これはチャンスです。

残り2301文字

この続きは有料会員登録をすると読むことができます。

2週間無料で登録する

Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

最新記事