【空から撮った鉄道】まるで鉄道模型のヤードだ! 新幹線+αの“ごった煮車両基地”が楽しい! 同居する“長いのと短いの”〈前編〉

私は15年以上にわたる鉄道の空撮で、日本各地に点在する新幹線車両基地も撮影してきました。いくつかの車両基地はすでに紹介しましたが、別カットを交えて、東北新幹線系統の車両基地を前後編でイッキに紹介します。

この記事の目次

・現役運転士:「車両基地内の移動は大変」
・降雪を考慮した盛岡新幹線車両センター青森派出所
・新在混合の秋田新幹線車両センター
・山形新幹線車両センターも新在混合
・盛岡新幹線車両センター

【画像枚数】全13点

現役運転士:「車両基地内の移動は大変」

 新幹線車両は200km/h以上の高速で走り、1日の走行距離が1400~2000kmと長く、整備、検査、修繕は終着から始発までの夜間に実施されます。そのため新幹線の車両基地は、在来線の基地と比較すると大規模で、入換えの時間ロスを抑えるために着発収容線~仕業検査線~整備線という配置が多く、検査と整備では通常作業と高精度作業を同時進行で実施できるよう、屋外ではなく検修庫内となっています(参考:『鉄道ピクトリアル』2002年12月No.725号)。

Large tohok2 01

拡大画像

新幹線総合車両センターの留置線で休息するE2系、E5系、E6系。工場出入場でE7系が停車するときもある。今なら、新型E8系もいることだろう(2021年9月12日、吉永陽一撮影)。

 東北新幹線、東海道・山陽新幹線、北陸新幹線は編成が長く、車両基地は2~3編成分が縦列で収容できる長さを必要とします。着発収容線は全ての線路から直接着発できる線形で、胃袋のように線路が何本も膨らんで収束する構造となっており、敷地の長さは数kmに及びます。私の小学生時代の鉄道仲間が現役の新幹線運転士で、「車両基地内を端から端まで移動するのは大変だよ」と漏らしていました。所内では自転車やクルマも活躍するとか。

 一方、短い編成の新幹線路線では在来線と似たような構造の車両基地が存在し、雪国であれば雪対策を施していて、その路線と環境によって様々な表情があります。そこで前後編に分けて、東北新幹線系統の車両基地を見ていきましょう。なお、北海道新幹線の函館新幹線総合車両所は未撮影のため割愛します。

降雪を考慮した盛岡新幹線車両センター青森派出所

残り2332文字

この続きは有料会員登録をすると読むことができます。

2週間無料で登録する

Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

最新記事