【空から撮った鉄道】地名ではなく“新幹線”を冠した基地はやっぱり特別! 車両の移り変わりにも興味津々〈後編〉

東北新幹線開業前の実験線で使用された車両基地は、今もそのまま活用されています。今回は試験時代から稼働するJR東日本の新幹線総合車両センター、小山新幹線車両センターのほか4つの車両基地を紹介します。

この記事の目次

・「East-i」や「ALFA-X」も所属
・夜間滞泊のみ 小山新幹線車両センター
・台風19号で水没した長野新幹線車両センター
・旧田端操車場の一部を転用した東京新幹線車両センター

【画像枚数】全26点

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「East-i」や「ALFA-X」も所属

 JR東日本の新幹線網は東北、上越、信州へと延び、それぞれの路線には車両基地が備わっています。残念ながら新潟地域は未撮影のため紹介できませんが、前回に引き続いてJR東日本管内の新幹線車両基地空撮をお見せします。

 宮城県利府町の田園地帯。のどかな場所にドンと構えているのは、JR東日本の新幹線の中枢である新幹線総合車両センターです。「○○新幹線車両センター」と地域名が冠されていないのは、ここが同社の新幹線車両基地で唯一の存在であることを示しており、「特別な車両基地なのだろうか」と思わずにいられません。

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利府駅方向を手前にして新幹線総合車両センターの全景。東北新幹線の中枢を成すため、着発収容線から続く線路は、仕業検査、交番検査、全般検査、車両改造、廃車解体と様々な建屋内へつながっている(2012年5月7日、吉永陽一撮影)。
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新幹線総合車両センターを東方向から見ると、背後には奥羽山脈の山々が望めた。車両基地は東北新幹線から枝分かれするように敷地が広がり、手前には東北本線利府支線がある。仙台北部道路が横切り、宮城スタジアムも見えた(2012年5月7日、吉永陽一撮影)。

 はい、新幹線総合車両センターは特別な存在です。主に東北新幹線を担当する600両あまりの車両のほか、E926形「East-i」、E956形「ALFA-X」が所属し、日常の仕業・交番検査、JR東日本が所有する新幹線車両の全般検査を行い、改造工事や廃車解体までを工場で行う、まさに総合的な車両基地なのです。工場エリアも含めて、全長約4kmもの広大な敷地を有しています。

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着発収容線で顔を揃えるJR東日本の新幹線車両たち。2013年の撮影ではE2系、E3系、E5系の姿があった。手前でグランクラスとグリーン車の2両のみとなったE5系は、検査のために分割されたのだろう(2013年6月25日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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