空自現役パイロット激白!「最新ステルス戦闘機」なぜ強い? 知られざる秘訣とは「航空祭の飛び方見ればわかるよ」

FCSの効果が発揮される演技はコレ!

 現代の航空機の多くは飛行をコンピューターで制御しています。この制御は、一般的にはFBW(フライ・バイ・ワイヤ)の名称で知られますが、F-35ではそれをFCSと呼んでいます。航空機は機体各所にある可動翼を動かすことで機体を制御していますが、FBWやFCSではパイロットの操縦をそのまま可動翼に伝えるのではなく、コンピューターが機体の速度や姿勢などの状態を加味して、適切な動きに補正して制御してくれます。

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機動飛行について模型を使って説明してくれた第302飛行隊の担当パイロット(布留川 司撮影)。

 F-35のFCSの効果は機動飛行でも見ることができます。低速での飛行中などに、水平尾翼が小刻みに動くことがありますが、これはパイロットがそのように操縦桿を動かしているのではなく、FCSが機体の姿勢を維持するために自動で微調整を行っている動きそのものになります。

 また、急旋回や機首を急激に上げる機動をしたとき、機体後方が滑るようなドリフト的な動きをすることもありますが、これも飛行の安定性確保と高機動性を両立させようとするFCSの効果の表われだといえます。

 F-35の機動飛行ではさまざまな演目が行われますが、その中でFCSの効果が特に表われているものがあるといいます。

「F-35の機動飛行ではすべての課目に注目してほしいですが、特に見どころなのは『ペダルターン』という課目で、低速度帯における機動性の良さが現れる課目となっています」

 通常、航空機が旋回する場合、操縦桿の操作によって機体を横に傾けて機首の上下の動きで旋回を制御します。しかし、ペダルターンでは、その名前のとおり、パイロットは操縦桿を手前に引いて固定した状態でラダーペダルを右に踏み込み、機体を左右に動かすヨーイングによって360度の下降旋回を行います。

 通常の航空機でラダーペダルを踏み続けると、主翼の片側だけに揚力が発生して機体が不安定な状況となり、回復が困難なスピン(錐もみ降下)状態となってしまいます。しかし、F-35ではFCSが自動的にスピンに入らないように補正してくれるので、安定した降下旋回を行うことができるのです。

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