空自現役パイロット激白!「最新ステルス戦闘機」なぜ強い? 知られざる秘訣とは「航空祭の飛び方見ればわかるよ」

F-35Aの強さは機動飛行だけじゃない!

「戦闘機に限らず、航空機というのは速い速度においては高い機動性を持っており操縦は容易ですが、低速度帯においてはそれが途端に難しくなります。着陸が難しいと言われるのもこれが理由です。その低速度帯においてF-35の強みとなるのが、先ほど述べたFCSであり、ペダルターンはその恩恵を最大限に発揮したものです」(第302飛行隊F-35Aパイロット)

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機動飛行中の第302飛行隊のF-35A「ライトニングII」。機体表面の煙のようなものは、ベイパーと呼ばれる空気中の水分か圧縮されてできた水蒸気(布留川 司撮影)。

 機動飛行はデモンストレーションですが、そこで披露される性能は機体の機動性を示したものであり、それは戦闘に役立つ部分もあるそうです。

「この機動性は戦闘機同士の空中戦、いわゆるドッグファイトにおいて役立ちます。戦闘機にとってあらゆる場面において機動性は重要なものですが、F-35の低速域での機動性と安定性はドッグファイトなど、その戦闘機の機動性が問われる場面において特に大きな強みとなります」(第302飛行隊F-35Aパイロット)

 とはいえ最も重要なのは、機動性の高さがF-35Aの全てではないという点です。

「確かに機動性はF-35の強みではありますが、F-35はステルス性とセンサーフュージョンといった能力を持っており、現代の航空戦において高い戦闘能力を有しています。そのため、良好な機動性というのはあくまでもF-35の強さという点でいうとそのうちの一部に過ぎません」(第302飛行隊F-35Aパイロット)

 F-35は、冒頭に記したように一般的には第5世代機と呼ばれますが、その特徴はレーダーに映りにくいステルス性や、戦域の情報を統合化できるセンサーフュージョン能力であり、脅威に対して遠距離から戦闘を行うことが可能です。こうした性能をフルに発揮すると、映画のようなドッグファイトを行うことはないでしょう。

 しかし、ミサイルを撃ち尽くした時や突発的な状況によっては、ドッグファイトや激しい飛行が必要となる状況が発生する可能性もあることから、F-35にはそれらに対応できるだけの十分な能力が付与されているのです。

 これにステルス性などの第5世代戦闘機としての性能も合わせて考えれば、この機体は非常に能力の高い戦闘機であると、今回の三沢基地でのパイロットインタビューを終えて改めて感じました。

【了】

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Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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