噴火で出動中の大型輸送ヘリCH-47 その実力とは

「野火消火器材I型」を装備可能

 陸自と空自が採用している大型輸送ヘリコプター「CH-47J/JA」は、パイロット2人と機上整備員1人のほか、55人が乗ることができます。機体サイズは全長30.18m、全幅16.26m、全高5.69mです。ただこれは上部のローター(プロペラ的なもの)を含めたサイズで、それを除いたサイズは全長15.54m、全幅3.78mになります。またローターの直径は18.29mあり、それを前後にひとつずつ装備する形です。

 最高速度は約270km/h。巡航速度は、CH-47Jは約270km/hですが、改良型のCH-47JAは約260km/hになっています。ただし航続距離はCH-47Jが約540kmなのに対し、CH-47JAは約1040kmと大幅に向上しました。また実用上昇限度もCH-47Jは約2670mですが、CH-47JAは約2700mになっています。

 輸送能力に関して、その機内に人員や車両、物資を搭載できるほか、大きなものはつり下げる形で運ぶことが可能です。福島第一原発への放水は、7500Lを運搬できる「野火消火器材I型」をつり下げ、上空で散水する形で行われました。またそれは名前の通り、山林火災などへの対応を念頭にした装備です。

 武装は基本的にありませんが、12.7mm重機関銃などを搭載できる機体も存在します。

 近年、軍用の輸送ヘリといえば「V-22 オスプレイ」に注目が集まっていますが、オスプレイは最高速度約520km/h、航続距離約3900kmと長距離高速輸送が特徴で、大型の車両輸送や大量の人員輸送に向いたCH-47とは性格が異なります。

 ちなみにCH-47へ、実際に乗ることも可能です。もちろん災害時に自分が救助される立場になる、というものではありません。自衛隊の基地で、しばしば体験搭乗イベントが行われるのです。ただその目的から基地近隣の住民限定であったり、親子限定であったり、簡単ではありませんけれども。

 しかし航空祭などのイベントで着陸しているCH-47の内部へ入れることが時々あり、こちらは比較的容易に見学が可能です。その内部は軍用機らしく、装飾などを省いた無骨なものになっています。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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