北陸新幹線で消えるちょっと怖い鉄道の名所

強風でガラスが割れたことも

 ちなみに美佐島駅の防風扉は、このホームと通路を仕切るもの以外にもう1枚、通路と外に出る階段を仕切るものがあります。「ホーム|通路|階段」という形をイメージしてください。そしてホームの扉が開いているときは、階段の扉は逆に閉まるようになっています。

 なぜかというと、美佐島駅に列車が到着してホーム側の防風扉が開いているとき、トンネルに特急「はくたか」が進入してくると強風が発生。それが開いている美佐島駅ホーム側の防風扉から漏れ出し、階段を伝って地上の駅舎を破壊してしまうからです。北越急行の開業前、防風扉を開けたまま列車を通過させたところ、風圧で駅舎にある待合室のガラスが割れたことがあります。

 特急「はくたか」は越後湯沢駅で接続する上越新幹線と連携し、首都圏と北陸地方を結ぶ役割を持っています。そのため2015年3月14日に北陸新幹線が金沢まで延伸すると、この特急「はくたか」は廃止される予定です。よって美佐島駅でこのような光景が見られるのは、あとわずかしかありません。「はくたか」廃止後も同駅を通過する快速列車が存在し、同様の状況は発生すると思われますが、最速160km/hで走る特急「はくたか」の強烈な風圧は来春で見納めになります。

 北越急行によると美佐島駅について「不思議な駅ですので、機会をみて一度下車してみてはいかがでしょうか」とのこと。北陸新幹線の金沢開業で盛り上がっていますが、その影で消えていく風景にも要注目です。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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3件のコメント

  1. はくたかが廃止になる前に、一回は行ってみたかった。快速の通過はどうなんでしょう。

  2. いや、戦慄でしょ?

  3. 通過前から通過後の音を初めてこの十分な長さの動画で聞くことができました。あと思ったのですが
    >そしてホームの扉が開いているときは、階段の扉は逆に閉まるようになっています。
    これは「逆に」ではなく「念のため」とした方がわかりやすいのではないでしょうか。結果として逆の締まり方になると思うのですが、理由は逆ではありませんので。