新幹線開業の裏にある並行在来線問題 その厳しさを象徴する「北斗星」
CM発表会でJR西日本社長が触れたこと
2015年1月13日、青森県と岩手県、北海道の関係者がJR北海道を訪れ、廃止がすでに発表されている寝台特急「北斗星」(上野~札幌)について運行継続を求めました。各道県は2014年8月にも国土交通省とJR東日本に対し、同様の申し入れを行っています。
各道県がこうした要望を行った大きな理由は、現在「北斗星」が通過している第三セクター鉄道のIGRいわて銀河鉄道(岩手県)、青い森鉄道(青森県)、道南いさりび鉄道(北海道)において、「北斗星」通過に伴う線路利用料の収入がなくなるからです。
青い森鉄道では年間旅客収入18億5300万円の約2割、3億8800万円を「北斗星」と、同じく上野~札幌間を週3往復程度結んでいる臨時寝台特急「カシオペア」の「通行料」で稼いでいます。つまり「北斗星」が廃止されると、それが通過する第三セクター鉄道の経営に大きな影響が出るのです。
このIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道は、東北新幹線の延伸によってJRから分離された元東北本線です。道南いさりび鉄道は、2016年に予定されている北海道新幹線(新青森~新函館北斗)開業で、JRから分離される江差線を引き継ぐ鉄道会社です。
「北斗星」廃止に関連するそうした各道県の動きは、新幹線開業後に並行在来線を維持することの難しさを象徴するもの言えるかもしれません。
また2015年1月14日、谷村新司さんと仲間由紀恵さんを招いて実施された北陸新幹線のCM発表会で、JR西日本の真鍋社長は「JR東日本さんと一緒になって開業に向けた準備を一生懸命行っている」という熱意と共に、「(JRから経営分離される)直江津から金沢あたりまでの社員は、ほとんどが自分の職場を変わらないといけない」と、環境が変わる現場社員たちへ対する想いもにじませました。経営分離で新しく第三セクター鉄道が誕生しても、その運営を未経験者だけで行うことは不可能であるため、大勢のJR社員が新しい第三セクター会社へ出向するなどします。
新幹線開業は、華やかなことばかりではありません。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
そもそも、寝台列車を廃止する理由は、老朽化だよ言っているが
実際は、合間に新幹線をぶち込みたいだけ!
北海道新幹線廃止させろ!
函館本線の分離不要‼︎
整備新幹線建設で赤字が見込まれるなら無理して造らなくてもいいのに。負担の一部を地元に押し付けるのもどうかなあ。
代償が大きすぎないか。
新幹線と並行する普通列車の路線が3セクだと新幹線に並行する3セクの普通運賃に数百円で新幹線に乗れてしまう場合があります。東北新幹線は盛岡以南はJRで以北は3セクです。例として東京から宇都宮へ行く場合乗車券が1940円。新幹線自由席が2470円の合計4410円となります。盛岡から八戸へ行く場合新幹線は乗車券が1660円、新幹線自由席が1840円の合計3500円。並行するいわて銀河と青い森鉄道は乗車券が3040円です。ということは盛岡から八戸は地質新幹線の料金が460円。これでは新幹線開業でできた3セクが赤字の理由がわかります。
生活密着路線である在来線を廃止して新幹線を開通させるというのは地方創生の精神に反するような気がするのだが。そこまでして新幹線を作る必要があるのか?
新幹線開通で出来た平行3セク会社は元のJRとは100%無関係の鉄道会社になってしまうんですね。自治体と元のJR出資のJRの子会社になればいいと思う。りんかい線だってJR東日本が出資だし。