引退迫る特急「はくたか」 いまそれを経験すべき2つの理由
1分で標高差240m相当の気圧変化
乗車した列車は、2015年2月5日の金沢発越後湯沢行の特急「はくたか」17号です。新潟県の直江津駅を発車したのち犀潟駅を通過して、列車がJR信越本線から北越急行ほくほく線に入った時点の車内気圧は1007.95hPa。その3分後に通過した大池いこいの森駅付近でも1007.65hPaでした。
しかしその後、全長9130mの鍋立山トンネルへ進入すると、車内の気圧は急激に低下。16時26分に976.78hPaを計測しました。そして鍋立山トンネルを出た直後、16時27分のまつだい駅では1005.53hPaになっています。
また「iPhone6」の気圧高度計(気圧によって高度を測定するもの)は、鍋立山トンネル内では標高273.3m相当で、外に出たまつだい駅では33.6mを表示。そしてその間、わずか1分程度しか時間差がありません。つまりたった1分という短い時間で、240mの標高差に相当する気圧変化が車内にあった、ということになります。
特急「はくたか」の在来線最速160km/h走行も、それに伴う狭く長大なトンネルでの気圧変化も、体験できるのはあとわずかの時間です。またトンネル内部にある北越急行美佐島駅で、特急「はくたか」の高速通過による空気の変化を体験できるのも、あとわずかです。北陸新幹線の金沢延伸開業でこれら「名物」が消えるまで、20日を切っています。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
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