超小型モビリティ普及なるか 今年度が正念場

現在、軽自動車より手軽に利用できる小型の自動車「超小型モビリティ」の実証試験が行われています。増加する交通弱者など日本が抱える交通問題に効果があるとされますが、はたして普及に至るのでしょうか。今年度が、その正念場です。

なぜいま「超小型モビリティ」が必要なのか

「軽自動車」が制定されてから、約70年たったいま。小型の自動車として新しく「超小型モビリティ」と呼ばれる車両も登場しています。車格としては、自動二輪車と軽自動車の中間というイメージです。

 国土交通省は2010~2012年度、その初期的な課題を洗い出す実証試験を行いました。その結果を踏まえて2012年6月、「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン」を公開しています。

 それによると、車両の概要は軽自動車の規格に準じて全長3400mm、全幅1480mm、全高2000mmの4輪車、または3輪車です。乗車定員は2名以下で、エンジンまたはモータ等のパワートレインは定格出力8kW以下、もしくは排気量125㏄以下としました。

 そして2013~2015年度には全国各地の自治体が主導する形で、軽自動車用の黄色いナンバープレートを発行する認定制度を導入。公道での実証試験が進行中です。国としては「実証試験で成功事例を掘り起こしたい」という意向があります。

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ホンダの超小型モビリティ「MC-β」(2014年1月、桃田健史撮影)。

 さてどうしていま、超小型モビリティが必要なのでしょうか。国は「日本の社会構造変化に対応した新しい移動システムが必要だ」といいます。具体的には、高齢化社会が進むなか高齢者が日常の足として気軽に使えること、大都市周辺の団地や郊外型住宅での「買い物難民」対策、短距離移動時のカーシェアリング用、ガソリン供給が制約されている島での利活用などが想定され、観光地では小型で小回りが効き、さらに運転中の開放感が大きいことで観光客の満足度やリピート率が上がるといったメリットも考えられます。

 また、こうした様々な利活用方法が考えられると同時に、交通渋滞の緩和とCO2排出量削減にも役立つほか、さらには小型な電気自動車であれば開発に必要な初期投資が少ないため、ベンチャー企業や中小企業を巻き込んだ地域の産業育成につながる可能性もあります。

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