原因は身体能力ではなく過信? 増加する高齢者ドライバーの事故

自己流運転をする高齢者が目立つ

 そして多くの高齢者ドライバーが集う「高齢者講習」の現場を見ると、その豊富な経験が運転に過信を与える傾向がわかってきます。

 東京都目黒区で「高齢者講習」を行う日の丸自動車学校の担当者は、「あくまで教習に訪れる人なので運転自体は慎重」と前置きをしつつも、「高齢者ドライバーはむしろ経験があるため、自己流の運転になりがちな人も目立つ」といいます。そして「そうした人たちは、一時停止や徐行、左右確認などがおろそかになりがち」と指摘します。

 教習所内はスピードも比較的遅めで、教習所内で事故につながるような運転はほとんど見られないとその担当者はいいますが、先に挙げたキャリアが30年以上になるドライバーのデータをあわせて考えると、“高齢者だからこそ過信が生まれる”状況は、高齢者の自動車事故を考える上で押さえておくべき要素といえそうです。

 ただし、日の丸自動車学校の担当者は、「高齢者講習を受けにくる多くの方は、かなり緊張感を持って臨んでいる」と付け加えます。

「わざわざ高いお金を払って免許を取りにくるわけですから、みなさん真剣に教習へ臨みます。そういう意味で、運転者として初心に戻るいい機会なのかもしれません」(日の丸自動車学校の担当者)

“高齢者だからこその過信”という事故原因を未然に防ぐ意味でも、「高齢者講習」は少なからず効果を発揮しているようです。

【了】

Writer: 種藤 潤

世田谷を拠点に活動するフリーランスライター。食や酒、旅を中心に、すまい、介護、教育、ビジネス、自衛隊、プロレスなど、本人がいつも把握できないほど多分野を網羅。結果的に他にはない独特のアプローチで、紙媒体、ウェブメディア問わず取材・執筆を展開。Twitter、Facebookでは日常の自分のご飯をつぶやき中。http://tanecreation.jp

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コメント

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4件のコメント

  1. 高齢者は (高速道路での運転を禁ず) という様な条件付きの免許を交付する様にしたら ?
    いかがでしょうか 後期高齢下流老人 当方は高速なんか運転しない。

  2. 都市部なら車は不要なはずです。歩けば足も丈夫になり健康になります。アクセルとブレーキを間違えて事故る?これも都市部でしょ。子供でも殺したら?取り返しがつきません。止める決断をいつするかだけの問題です。

  3. 単純に規制しただけでは、高齢者が、起こす事故は、無くならないと思います。長寿社会になったことに世の中いろんな面で過信しずぎだと思います。年令の衰えは、個人差などほとんどなく、人間は、年令とともに必ず機能が、衰えることをもっといろんなところでで発表、指導すべきだと思います。ご老人の根拠のない体力、機能面の衰えをご老人自身が、自覚できると同時にも他者に頼りやすい社会にしてもらいたい。あと、核家族が、増え、老人が孤立してしまい、家族や地域が、常日頃から交流して様子を見守ることが、ほとんどない社会にも問題があると思います。

    最後に車の運転操作をもう少し複雑にし、簡単に運転免許の更新が、できないような制度にすれば、高齢者に限らず、運転中に集中せざる得ないので事故は、減ると思います。

  4. ブレーキとアクセルの踏み間違いを防ぐ一つの方法はマニュアル車にするだけで防げます。
    アクセルとクラッチをミートさせなければ車は発進しません。

    現実にはマニュアル車が少ないよね。