消えた特急のチャイム 「盗り鉄」の犯行か?

鉄道趣味の対象になっている「チャイム」

 この「チャイム」が、なぜ盗まれたのでしょうか。犯人の意図は分かりませんが、「チャイム」が鉄道趣味の対象になっていることは事実です。

 車両や鉄道会社によって異なるそのメロディを録音し、楽しんでいる鉄道ファンは少なくありません。インターネット上には、そうして録音した音声を公開している人が多く見られるほか、それを収録したCDも発売されています。また、車掌による「チャイム」の操作を再現したスマートフォンのアプリも存在します。

 こうした“鉄道の音”を興味の対象とする人たちを、鉄道ファンのなかでも特に「音鉄」と呼び、鉄道趣味の一分野として成り立っています。

 ただ今回の犯人が鉄道ファンだと仮定した場合、その犯人は鉄道趣味的には別のジャンルに分類できます。「盗り鉄」です。「チャイム」が盗まれたことはもちろんですが、そうした「盗り鉄」という単語が誕生している現在の状況自体、大変残念なことです。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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