旧式より弱い新鋭戦闘機F-35? 99年間くり返される無意味な比較

足元まで透かして見えるF-35、その戦い方とは?

 F-35とF-16の事例も、全く同じことがいえます。F-35は機動性で戦う戦闘機ではなく、最新鋭のAESAレーダーやステルス性を活かし遥か遠方で敵機を発見し、編隊内データリンクで情報を共有し連携しながら、数十km~数百kmの相対距離でAIM-120「アムラーム」や「ミーティア」空対空ミサイルを撃ち込む戦闘機です。

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AIM-120空対空ミサイル「アムラーム」を発射するF-35(写真出典:アメリカ空軍)。

 また、万一接近戦に持ち込まれた場合においてもF-35では、機体外部6か所に設けられた「EO-DAS」と呼ばれる赤外線センサーが、あらゆる方角を自動で監視し、パイロットに警告を与える「全球覆域状況認識」を実現。「EO-DAS」はヘルメットのバイザーに映像を投影し、足元すら透かして見せます。さらにAIM-9XやASRAAMと呼ばれる短射程空対空ミサイルは機動性が極めて高く、EO-DASと連動することで180度ターンし背後の敵さえ攻撃可能です。

 つまりF-35は、自身の機動性を発揮せずとも高度なセンサーによって敵機を先に発見し、空対空ミサイルによって攻撃を加える戦い方を想定しているのです。

 F-16に敗れたとされる模擬戦闘がどのような状況下で実施されたのかは定かではありませんが、F-35は接近戦を可能とするソフトウェアがいまだ開発途上にあり、間違いなくこうした能力を活かした戦い方を行っていません。実際この報道を受けて、米空軍は以下の様に反論しています。

「F-35はセンサーやミサイル、ステルス能力を重視した戦闘機であり、完全な能力を発揮した場合のシミュレーションを何度も実施したが、F-16に対しては全て勝利している」

 スパッドS.7の登場以来99年間、新鋭機が登場すると「必ず」と言って良いほど繰り返され続けてきた、新鋭機の開発目的外での優劣の比較。それには全く意味がないのです。

 米空軍のステルス機F-22「ラプター」は、演習においてほとんど無敵ともいえる実績を誇りますが、F-35も実用化後はF-22と同じように、無敵の存在となるかもしれません。いまF-35の能力について結論を出すことは、あまりに性急すぎるといえます。

【了】

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Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

5件のコメント

  1. 戦闘機を乗り物として扱うのはおかしくないですか?
    人が乗れたら何でも乗り物だったら、ユンボのような工事用車両も乗り物になってしまいます。

    • 大いに歓迎するわ

  2. 零戦、隼は格闘戦を優先して開発された戦闘機です。
    デタラメ言わないように

  3. 零戦は格闘戦重視の開発ですが、同時にスピードも要求されていますさらには長大な航続距離と20mm機関砲の装備を海軍は要求しています、艦乗機の制約から離着陸速度の制限とまるでオリンピックの各種競技の全てで金メダル要求する仕様です、サウジさんは96観戦の格闘戦での有利性は全ての面で勝ると思われていませんか?本当は水平面の旋回性のみが優れていますが垂直旋回では零戦にかないませんし上昇力でははるかに劣ります、スピードを上げた戦い方では問題外と言える性能差が有ります、坂井 三郎の大空のサムライなどの著作物を図書館ででも見て下さればご理解いただけると思います。今回のこの話も時代の変化を見た上での評価が必要です。

  4. より優速の米軍機相手なので格闘戦を強いられただけで、本来は単葉単座の高速戦闘機として設計されたのだから合ってる