長崎新幹線フリーゲージトレイン導入断念? 短時間に乗換連続の可能性も

九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)へのフリーゲージトレイン導入が断念されるという報道がありました。この車両の導入を前提としていた同新幹線、その未来はどうなってしまうのでしょうか。

まだ実用化されていないフリーゲージトレイン

 2015年10月27日、九州新幹線西九州ルートへのフリーゲージトレイン導入が断念される見通しだと、財界九州が報じました。それによると、当面は在来線特急と新幹線がリレーする方式になるといいます。

「長崎新幹線」などとも呼称される九州新幹線西九州ルートは、福岡市と長崎市を連絡するもの。そのうち武雄温泉(佐賀県)~長崎間については2012年に着工が認可され、建設が始まっています。同区間の開業予定は2022年です。

 博多~新鳥栖(佐賀県)間は、すでに開業している九州新幹線鹿児島ルートの線路を活用。そして新鳥栖~武雄温泉間には新幹線の線路を建設せず、在来線の長崎本線・佐世保線へ直通し、「新幹線~在来線~新幹線」という形で博多駅と長崎駅を結ぶ計画になっています。

 ただ通常、新幹線は1435mm、在来線は1067mmと線路の幅(軌間)が異なるため、このような新幹線と在来線の直通運転はできません。

 それを実現する方法のひとつが、在来線の軌間を新幹線と同じにしてしまうこと。「ミニ新幹線」と呼ばれる方式で、山形新幹線と秋田新幹線がこれです。

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九州で走行試験を行っていたフリーゲージトレインの第三次試験車両(2014年11月、恵 知仁撮影)。

 しかし、九州新幹線西九州ルートで考えられているのはその方法ではなく、車両側で軌間に合わせ車輪の幅を変えることにより、直通運転を実現するもの。このように軌間(ゲージ)を変えられる車両を「軌間可変電車(フリーゲージトレイン)」といいます。

 鉄道・運輸機構らによって開発されているこのフリーゲージトレインは、まだ実用化されておらず、九州新幹線西九州ルートでの導入を目指し試験が行われていましたが、2014年11月に台車部分で問題が発生。以降、試験は中断されています。

 そうした状況のなか2015年10月27日、九州新幹線西九州ルートへの「フリーゲージトレイン導入断念」という報道が行われました。

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コメント

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13件のコメント

  1. さっさとミニ新幹線にしとけば、いらん混乱をせんで済んだものを。「こまち」」だったら320キロ運転してるぞ。

  2. ま、軌間変換の装備一式を既に輸出してしまったので、1から作らなければならないだろうな。あっても老朽化していただろうが、、、。
    長崎「だけ」の新幹線だったら、貨物輸送を考慮しなくてもいい「ミニ」なら、「並行在来線問題」も気にしなくていい。

  3. 「敦賀ー親大阪」は、どのみち、フル規格(東海道のバックアップの名目がある)だろうから、FGTを投入しても、「二重投資」になる。ただし、他線区への配転を計算した場合は違う。「伯備」、「瀬戸大橋線」なら需要がある。

  4. やっぱり、三線軌条が現実的でしょう。JR東の協力を得て新鳥栖- 武雄温泉間は三線軌条にすれば、時間とコストを抑えることが出来るでしょう。
    又E6系「スーパーこまち」の技術をJR東から移転すれば、車両も2022年までに準備出来るでしょう。

  5. 鉄道と道路は地域の動脈です。そのような大切なものを作るのになぜ最高のものを目指さないのでしょうか。途中の駅の一部の人の利益を守るために九州の隅の人がないがしろにされるのは許せません!フリーゲージ導入は反対です。フルゲージでなければ長崎新幹線なんていりません。これまでの倍以上の速度が出るものなのに時間が半分にならないなんて意味が無いものを作るだけ無駄です。九州の発展のため頑張っている方々を応援します。長崎県人も立ち上がって声を上げよう!「僕らがほしいのはフルゲージ」

  6. フル規格?
    いらんわ。

    なんで判決もロクに守れないで、迷惑かけていけしゃーしゃーとしてる長崎人なんぞのために、
    佐賀が負担までして付きあわにゃならんよ。
    フリーゲージさえ蹴っ飛ばしたいくらいなのに

    今日の(佐賀)県議会見てたけど、まぁ今のところ、佐賀にその気は全くありません。
    ざまあ

  7. フリーゲージ導入はやめてほしいです。
    スピードアップとは関係のないところに一千億円近い費用が必要になるからです。
    重たく小さくシステムも特殊な車両が乗り入れる他の区間に迷惑をかけるからです。
    その費用の一部は私たちの血税なんですよ!

    佐賀県は目先の事に意識を奪われていています。
    技術・安全が確立されていないフリーゲージを当初佐賀県に持ち掛けた役人もそうです。

    新幹線の本来の目的は速達効果による時間の短縮でしょう。
    佐賀県の負担分は将来のフル規格建設のための貯金とすべきです。
    速達効果が少ないフリーゲージに対して負担すべきではないでしょう。

    国、佐賀県、長崎県は将来に向けた戦略的な思考を持ってほしい。
    対立するのではなく、将来を一緒に真剣に考えてほしい。

    しばらくはリレー方式でよいと思います。期間は長引いてもいいです。

    リレー方式の区間は山陽九州新幹線と同じ規格の車両を導入して建設された設備を最大限生かしてほしい!
    すでにある規格なので技術も確立されているしメンテナンスもしやすい!
    博多長崎 1時間26分・・・私は期待しています!

  8. リレー方式賛成です。

    長引いてもいいように武雄温泉から南の新幹線の区間には
    さくら、のぞみ規格のしっかりとした新幹線を
    走らせてください。

    博多武雄温泉はかもめ885系にがんばってもらいましょう!

    フリーゲージは不要です。スピードアップ以外のところで余計なお金を使ってしまうので。

  9. 線形を向上させたミニ新幹線を建設するのが、一番効果的な方法ではないでしょうか。フリーゲージは、長崎新幹線を研究開発の実験場にしているだけという気がします。「山形新幹線」も、フルの東北新幹線が延伸し、北海道まで繋がったのをみて、フルの方がよかったという意見もあるようですが、山形県内にたくさんの「新幹線駅」ができて多くのひとに新幹線の恩恵を与えることができました。長崎は、博多から近すぎることが、フルが適さない理由のひとつです。日本は、あっという間に人口減が進んでいきます。少しでも、早く、効果的な鉄道建設をしないと手遅れになってしまいと思います。

  10. 長崎新幹線のフリーゲージトレイン いつまでも技術的な解決ができないまま歳月は流れ開発費とはおよそむすびつかない無駄が累積されているだけ 速やかに方針転換も視野に入れ フリーゲージトレイン方式をあきらめ ミニ新幹線方式を支持します。 今 決断しないと どんな計画も無に帰すことになりかねません。日本は少子高齢化が進行していることを計画の第一に考えるべきです。 早く完成させ、利用してもらうことが 最重要と思います。これは希望的意見ではなく 日本の近未来を憂うものです。

  11. 今日のマスコミ報道で、フリゲ導入を最終的に断念するという観測記事が出たね。安全性への不安とコストの問題でJR九州が断念に傾いているとのこと。どうすんのかねえ、秋田みたいに双単線にでもするのかなあ。

  12. 近鉄(つまり「在来線」同士)でフリーゲージ導入検討の話が出ていますね。これだけ長い年月と多くの予算を投じて開発された技術ですので、在来線同士でも良いので実用化してほしいところです。

    当分の間は、在来線(JR~私鉄間も含む)同士で 観光列車や高級な周遊列車(ななつ星など)から使うのが現実的なのかもしれません。 線路があるところにはどこにでも行く、と。

    フリーゲージを新幹線で使う場合、整備新幹線基本計画線の大半はフル規格で造り、フル規格新幹線計画から外れた地域に新幹線列車を直通させる というような 「あくまでもフル規格新幹線計画の補完」として使うのが適しているのかもしれません。

    繰り返しますが、当分の間は在来線同士で実用化し、少しずつ「実績」を積んで 新幹線(の中でも控えめな速度・運行距離)、そして、新幹線の中でも高速で長距離 と 使うレベルを上げていくという段階を踏むのが「物事の筋」。 歴代フリーゲージトレイン試験車たちは「段階を踏むように」と訴えていたのかもしれません。

  13. 本来は長崎本線の線形改良直線化・複線化による在来線特急高速化(一部区間で160km運転も)
    という方法が一番安く済んだが、 佐賀県の実質負担が新幹線よりも多かったそう。

    在来線改良による時速160km運転も整備新幹線の一形態 とするような行政制度改革を提案したりする事が佐賀県や県内自治体が積極的に行なうべき事だった。 反対一辺倒の不毛な議論では無い。

    新幹線が造られている以上、それを応用し、武雄温泉ー(肥前山口)ー佐賀空港ー大川市柳川市ー久留米 という経由にして、整備新幹線と地方空港を連携させる交通体系を全国的に創っていくのが最も社会的利益が大きくなる。新幹線が佐賀駅を通らないことで佐賀県民が求めている佐賀駅を経由する在来線特急は残せます。