日本企業には無理!? 縦置きVツイン作り続ける「イタリア最古の二輪メーカー」100年愛される理由どこに?

かつては国産バイクでも搭載モデルが多かったVツインエンジンですが、現在では世界的に減少傾向で、中でも縦置きVツインを採用するのはイタリアのモト・グッツィだけ。そんな縦置きVツインの魅力はどこにあるのでしょうか。

独特の乗り味にハマる? 縦置きVツインのメリット

 2024年現在、モト・グッツィ以外ではほとんど採用例がない縦置きVツインエンジンですが、左右のシリンダーヘッドが車体から突き出すことで走行風による冷却効果が高い、エンジンの回転物であるクランクシャフトが車体の進行方向と同一になるのでジャイロ効果により直進安定性に優れる、トランスミッションがエンジン後方に配置されることからスリムな車体設計が可能、横型エンジンをシャフトドライブ化した場合と異なり、後方にエンジン出力が伝達されるので90度変えるべべルギアが必要ない、などのメリットが挙げられます。

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モト・グッツィを正面から見ると縦置きVツインの特徴であるシリンダーヘッドの張り出しがよくわかる。この独特の形状から「Y型エンジン」とも呼ばれている(山崎 龍撮影)。

 反対に弱点はほかの縦置きエンジンと同じく、停車時やごく低速時にアクセルをあおるとクランクシャフトの反力で車体が右側へ起きようとする現象、いわゆる「トルクリアクション」が生じることや、チェーンドライブとの相性がよくないなどといった点があります。

 とはいえ、前述したようなメリットがあるのも事実。では、なぜ日本の二輪メーカーは、縦置きVツインエンジンのバイクをやめてしまったのでしょうか。

 その理由としては、日本のユーザーは直列4気筒志向が強く、縦置きVツインの特徴が「クセの強さ」として捉えるライダーが多かったことに加え、チェーンドライブと違ってシャフトドライブはファイナルレシオ(ギア比)の変更が難しいことから、これらの点が嫌われて、日本では縦置きVツインのオートバイが人気にならなかったと筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)は推測します。

 しかし、1度味わうとその魅力にどっぷりハマるのが縦置きVツインエンジン車です。筆者はつい最近、中古のモト・グッツィ「V11スポーツ」を手に入れました。運転感覚は独特で、低速ではハーレーのような鼓動を感じるのですが、回転を上げるにつれVツインの特徴である振動が収束し、高回転まで綺麗に吹き上がります。

 なお、前出のトルクリアクションは思ったほど感じず、直進安定性には影響ありませんでした。だからか、近年「V7」や「V85TT」などの最新のモト・グッツィは静かなブームとなっているようで、日本のライダーの間でも徐々に縦置きVツインの認知度が高まりを見せつつあるようです。

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Writer:

自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、カワサキZX-9R、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか

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