「世界最強戦車」台湾に到着! 島国でどう使う? エイブラムスが選ばれたワケ
島国である台湾に、アメリカ製のM1A2エイブラムス戦車が到着しました。対中国(人民解放軍)を念頭に置いた導入です。しかし台湾軍が、ドイツのレオパルト2や韓国の最新K2ではなく、重量級のエイブラムスを選んだ理由は何でしょうか。
M1A2エイブラムス38両が到着
中華民国(台湾)国防部は、M1A2エイブラムス戦車38両が12月15日にアメリカから到着し、台湾北西部の新竹にある陸軍の装甲訓練司令部に運び込まれたことを確認しました。台湾軍には戦車戦力としてM48A5の台湾バージョンCM-12、M48HのCM-11、M60A3が合わせて1000両以上配備されています。
中国人民解放軍と対峙する台湾軍は、島国ながら機甲戦力整備にも傾注していることがわかります。いずれの戦車も第2世代に相当しますが、近代化改修は実施済み。しかし数は多いものの旧式化は否めず、次の戦車を求めていました。
台湾は地政学的制約から兵器の国産化に積極的で、戦車を国産する工業力もあるとみられますが、設計開発から配備までは10年スパンの長期プロジェクトになりますので、最近の情勢を踏まえれば輸入するのが現実的な選択肢でした。結果、「世界最強戦車」を謳われるM1A2の台湾バージョンM1A2Tが配備されることになったのです。
M1A2TはM1シリーズの最新バージョンではないもの、第3世代のM1A2SEPv2相当の能力といわれ、M60A3やCM-12よりはるかに強力です。購入費は車体108両と付属品、戦車回収車など支援機材込みのパッケージで約20億ドル(約3000億円)とされています。概算で1両約15~20億円の計算になり、決して安い買い物ではありません。
一方でM1はウクライナの実戦が示すように、燃費の悪さなど高いランニングコストと、重すぎて動ける場所が限られるという問題が指摘されています。台湾軍の戦車部隊は海岸線での水際防御ではなく、機動力を生かして縦深的に侵攻してくる人民解放軍に対応するとされていますが、ウクライナでも持て余し気味の重量級の戦車を、島国台湾が有効活用できるのかという指摘もあります。
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