退役したけど引退してない!? 米軍も驚かせた日本戦車の野心作 「74式」を振り返る
2024年3月に全車が退役した陸上自衛隊74式戦車。しかし2025年度の防衛省概算要求からは、まだ残るのではないかとも読み取れます。日本独自の機能を持ち、半世紀にわたって配備された74式は、どんな戦車なのでしょうか。
防衛省概算要求に意味深な文言が
陸上自衛隊74式戦車が2024年3月、全車退役しました。「74式」の名の通り1974(昭和49)年に制式化され、以降半世紀も現役だったのです。製造数も873両を数え、自衛隊の戦車としては最大。ただ、この74式の“引退”はまだ先になるかもしれません。
というのも2024年8月、「退役した装備の一部を破棄せず、必要に応じて再利用できるよう保管する」ことが、2025年度の防衛省概算要求に盛り込まれたからです。74式も一部が保管されると考えられています。
そもそも74式は、自衛隊初の国産戦車であった61式の後継として開発されました。61式は日本の基礎技術力不足もあり、同世代の外国戦車と比較して攻撃力、防御力ともに劣っており、特に90mm主砲の火力はかなり劣勢でした。そこで火力増強、あるいは105mm砲を搭載した新型戦車の開発が必要と考えられたのです。
これには数々の性能が求められました。例えばソ連のT55のように、低姿勢、後輪駆動、卵形砲塔、低車高で105mm砲搭載、あるいはアメリカのMBT70のように副兵装のリモコン操作と大転輪方式、ほかにも近代的主力戦車の必要条件と見られていた潜水渡河能力や全天候対応、レーザー測距、電子式弾道計算機、スタビライザー、暗視装置の装備などです。
当時は自衛隊に批判的な世論も強く、長期間の海外視察が困難だったことから、三菱重工経由でイギリス兵器展示会に参加し、欧州戦車の技術も取り入れました。
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