実は現在進行形「カワサキの原チャリ」の魅力とは? 高排気量だけじゃない「小さなカワサキ」という“もう一つの世界”
高排気量バイクで知られるカワサキですが、125cc以下の低排気量モデルも意外と多くラインアップされています。そうした“ミニなカワサキ”を複数所有するオーナーに魅力を聞くと、いわゆるカワサキ像とは異なる世界観が見えてきました。
意外と多い「125cc以下のカワサキ」
「カワサキのバイク」と聞くと、Z1、Z2、Z1000、W1、GPZ、ZEPHYR、ZZR、Ninjaなど高排気量の名車ばかり。各モデルの強い個性と伝説、そしてどこか硬派なイメージから「カワサキは高排気量バイクメーカー」と思う人は多いかもしれません。
実際、高排気量バイクモデルは今日も多く、確固たる人気を獲得しますが、しかし、実は過去、125cc以下の低排気量バイクも多く作ってきたメーカーでもありました。
現行車種はZ125プロという124ccのみのラインナップですが、かつてはコヨーテ、KV75、AV50、AE50、KS-I/II、KSR-I/II、KDX125、KH90/125、エリミネーター125といったコアな人気を誇る低排気量バイクがありました。
また、1960年代後半頃から主に米国や東南アジアへ向けた125cc以下の輸出向けモデルも多く作っており、一般的なカワサキのイメージとは少し異なる事実があります。
ここでは、この辺の事情に詳しいカワサキの低排気量モデルを複数所有するオーナーの玉田欽一さんに話を聞きながら解説します。
カワサキブランド初のバイクは、なんとスクーターだった
航空機用エンジンを作っていたカワサキ(当時は川崎航空機工業)が本格的に二輪事業へ乗り出したのは1953年のこと。以来、2ストローク、4ストローク双方のエンジン開発を行うことになりました。
そして、同年にはカワサキブランドでの初めての量産バイク(スクーター)、川崎号を発売。今日の硬派なイメージのあるカワサキブランドの第一号バイクがスクーターだという意外な事実なのですが、その排気量は58.2ccで、2ストロークエンジンにペダル切り替え式の2段変速仕様でした。
船舶、鉄道車両、飛行機の製造などでその名はよく知られていたカワサキですが、二輪分野では十分な販売ルートを持っていなかったこと、そしてすでにスクーターとして富士重工のラビット、三菱のシルバーピジョンなどが絶大な支持を得ていたこともあり、川崎号はわずか200台程度の販売で早くも生産終了に至ります。
また、二輪分野におけるカワサキブランドは少々カオスな時代でもあり、大日本機械工業からバイクの製造販売を受け継いだメイハツ工業、中型~大型のバイクメーカー・メグロと業務提携や合併をし、さらには川崎グループ内での再編を経て、1969年に川崎重工業として再出発。W、Zなどの高排気量モデルのヒットに恵まれ、さらに後になって、二輪専業のカワサキモータースジャパンに発展することになりました。
コメント