「圧倒的な射程」なぜ必要? F-35用“新ミサイル”取得へ 自衛隊どう使うのか

防衛省は令和7年度予算で、F-35A用の新型対艦ミサイルの取得予算を計上しました。「JSM」と呼ばれるこのミサイルは、従来のものとどのように性能が違うのでしょうか。

果たしてこられの防衛装備は役にたつのか?

 少なからぬ経費を投じて、複数の長射程対艦ミサイルを多数整備するのはムダなのではないかという意見もあるかと思いますが、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は必ずしもそうは思いません。

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ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」を撃沈したといわれるウクライナ製の「ネプチューン」地対艦ミサイル(画像:ウクライナ国防省)。

 1982年のフォークランド紛争でアルゼンチン軍が使用した「エグゾゼ」がイギリス海軍の駆逐艦「シェフィールド」を撃沈するという大戦果を挙げたことなどから、対艦ミサイルは急速に普及していきました。しかし、いついかなる時でも100%命中し、攻撃目標を撃破できるとは限りません。もちろん予算の兼ね合いの許す範囲内での話ですが、対艦ミサイルは多数保有しておくべきなのではないかと筆者は思います。

 艦船に搭載されている、対艦ミサイルを迎撃するための自衛兵器や、対艦ミサイルの誘導を妨害する誘導装置も、フォークランド紛争の頃とは比べものにならないほど進化しています。ただ、2022年4月にはウクライナ軍が「ネプチューン」地対艦ミサイルを使用し、ロシア黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「モスクワ」を撃沈した事例もあり、依然として対艦ミサイルが強力な兵器であることは間違いありません。

 対艦ミサイルに限らず、自衛隊のすべての防衛装備品は実戦で使われることのないまま退役することが望ましいのですが、誘導方法や射程の異なる対艦ミサイルを多数保有することは、日本に侵略することを困難にする「抑止力」の向上をもたらしますので、決してムダな支出にはならないと筆者は思います。

【機内に収納】これが、F-35に収まった状態のスタンド・オフミサイルです(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

1件のコメント

  1. 3ページ目の見出し「果たしてこられの防衛装備は役にたつのか?」

    「これら」ではないでしょうか?

    書かれた方、チェックする方は お気づきにならないのか? 不思議です