世界最強の戦車は「薄すぎて脆弱」 ウクライナ兵の“悲痛な叫び”は活かされるか? 「アメリカは脅威を知らない」

ロシアがウクライナへ対し特別軍事作戦を実行してから3年が経とうとしています。アメリカはM1戦車を供与していますが、最前線のウクライナ兵からは現代戦に対応していないとの声が。アメリカは耳を傾け、戦訓を反映できるでしょうか。

ドローン攻撃 現状はロシアが一枚上手か

 コープゲージに覆われる戦車の見かけは良くありませんが、これは多くの血から得たものです。ウクライナ軍幹部は、アメリカ軍は現代戦認識のアップデートを急がなければならないと強調しています。

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ウクライナの企業メトインベストが開発したコープゲージキット「スティール・フロント」を装備したM1(画像:メトインベスト・グループ)。

 なぜなら、ロシア軍のFPVドローンは電波妨害の影響を受けない有線(光ファイバー)誘導と夜間暗視カメラを搭載するようになっており、アメリカ軍が想定するFPVドローン対策自体が時代遅れになっているためです。

 なお、M1がウクライナで使うには重すぎるという指摘は、否定しています。ただ、ウクライナ戦線仕様への改造で、さらに2~3t増量しているのは事実のようです。

 M1をはじめ、FPVドローンの攻撃で爆炎を上げる戦車の映像はSNS上に溢れていますが、切り取り編集された宣伝用作品でしかないことに注意が必要です。映像に表れる「戦果」の影でどれだけのFPVドローンが無力化され、オペレーターが犠牲になっているかは不明であり、FPVドローンの効果については今後の研究分析を待たなければなりません。

 しかし緊急にやるべきことははっきりしています。主砲に140mm砲を搭載するのは結構ですが、戦車にはコープゲージやERAを付けることです。航空優勢、各職種支援下の行動という従来の戦術も見直さなければならないでしょう。

 今のところコープゲージを装備したアメリカ軍戦車は登場していません。アメリカは供与した戦車とノウハウ以上の実戦データおよび戦訓を、犠牲を出さずに受け取ることができているはずです。しかしそれを巨大組織のアメリカ軍が「速やかに行動」して反映できるかは別の問題です。

M1へ、ロシアのドローンが突入した瞬間(写真)

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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