『ガンダム』の「ビームバリア」なぜ宇宙戦艦に使わないのでしょうか? じつは諸刃の剣だった!?

『機動戦士ガンダム』シリーズにはMS以外にも印象的な宇宙艦艇が数多く登場します。とはいえ、なぜ登場する艦艇はすぐさま撃破されてしまうのに、防御がおろそかなのでしょうか。

ビームシールドの登場で多少マシになった?

 その一方でビグ・ザムや、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場するGP03デンドロビウムのようなビームバリアを備えた機体が、自分のバリアでセンサーを阻害される描写は見られません。

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SM-3を発射する自衛隊の護衛艦。今は装甲の代わりがこのような各種の対空ミサイルとなっている(画像:海上自衛隊)。

 これは「ごく近距離であれば、センサーはあまり阻害されない(センサー有効範囲から見て、数千~数万mではMSの射撃システムが機能しています)ので、大推力とバリアで敵に近づいて、センサーが効く距離で撃つ」ということでしょう。デンドロビウムの長大な主砲は、バリアの中心から主砲位置を遠ざけて出力低下を避けたいというデザインかもしれません。

 またビグ・ザムには全周囲に多数のメガ粒子砲、デンドロビウムにはコンテナに搭載された多数のミサイル兵装があります。センサーが狂っても手数で補うということです。ちなみに、ビグ・ザムの稼働時間は冷却能力の関係で20分程度と、投入タイミングが難しく、使い勝手が悪いので普及しないのでしょう。

 まとめると、遠距離で宇宙艦艇が支援砲撃している段階では、ビームが減衰するので、バリアや装甲はそこまでいらない。敵MSが近距離に接近したら必要ではあるけど、味方MSが突破されて近接戦闘になったら、減衰しない近距離ビームや大口径実弾兵器は装甲では防ぎきれず、バリアがあってもビームサーベルで斬り付けられては意味がないので、やはり重装甲やビームバリアを装備する意味が少ないのでしょう。

 なお時代がさらに進んだ『機動戦士Vガンダム』には、粒子をさらに収縮させ盾状にした「ビームシールド」を備えた艦艇もありますが、この時代の軍事予算は一年戦争時よりずっと小さいと考えられます。MSにもビームシールドが装備され、撃墜率が下がったため、MSの防空網を突破した敵MSが貴重な宇宙艦艇を撃沈しないために、艦艇にバリアが必要とされたと筆者は考える次第です。

【と、当然のことなのか…?】大戦時の艦艇で戦後兵器に挑んだ結果(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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