「グリーンランドを売ってくれ!」トランプ大統領のトンデモ発言 実は日本のビッグチャンスかも!?
トランプ大統領が就任前から、グリーンランドやカナダを取得したいと発言しています。この発言を物流の観点で考えると、その意味が見えてきます。そして、その恩恵を最も受けるのは、日本かもしれません。
トランプ発言の裏にある「2つの国際コンテナ航路」
米国トランプ大統領が就任前からグリーンランド(デンマーク領)、パナマ運河、はてはカナダまで取得したいと発言をしています。これは一見、トンデモ発言に見えますが、世界物流の幹線をなす国際コンテナ航路から見ると、なかなか興味深い状況です。
国際コンテナ航路は、世界最大の上海港を始めとした中国・東アジアを中心に、アメリカと欧州へつながっていて、世界第1位が「北米航路」(上海―釜山―ロサンゼルス)です。日本海事センターの推計によると北米航路では1日あたり6万TEU(20フィートコンテナ換算で6万個分)が東(アメリカ方面)に運ばれています。
6万TEUとは、コンテナを1列につなげれば366kmにもなる莫大な量で、これが毎日運ばれているのです。量の多さからもアメリカの生命線であることがよくわかります。そして北米航路はほぼ一直線なので良いのですが、問題は世界第2位の欧州航路です。
欧州航路は上海から西に向かいシンガポール、紅海を通り、ロッテルダム(オランダ)、アントワープ(ベルギー)、ハンブルク(ドイツ)の欧州3大港を結んでいます。大きく南に迂回するので遠回りですし、最近はソマリアの海賊や紅海のテロなどを避けて船舶はアフリカ大陸の南端・喜望峰を迂回することも多く、さらに遠回りになっています。
ここで注目されているのが、北極海です。
「アジア回り」トラブルで注目される「北極海」
アジアから北極海を通ると、欧州航路がぐっと短縮されるのです。かつては氷に覆われていて商船の通行は困難でしたが、温暖化の影響で商船の通行の可能性が上がってきています。
北極海には二つの航路があります。
「北西航路」は、欧州から西に向かい、大西洋から北アメリカ大陸の北側にあるカナダ北極諸島の間を抜けて太平洋とを結ぶ航路。「北極海航路」は、欧州から北に向かい、ロシアの北岸に沿って東に向かい大平洋と結ぶ航路です。
ざっと航路を引いてみると、上海起点でスエズ運河経由の欧州航路は1万9500kmなのに対し、北極海航路(ロシア北岸)は1万4400km(マイナス5100km・26%短縮)、北西航路(カナダ北岸)は1万5400km(マイナス4100km・21%短縮)となり、中国―欧州間の貿易はさらに盛んになりそうです。
もし、カナダやグリーンランドがアメリカ領となれば、大部分がロシア沿岸を通る北極海航路に対し、北西航路の大部分がアメリカ沿岸を通るということになります。
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