「グリーンランドを売ってくれ!」トランプ大統領のトンデモ発言 実は日本のビッグチャンスかも!?
トランプ大統領が就任前から、グリーンランドやカナダを取得したいと発言しています。この発言を物流の観点で考えると、その意味が見えてきます。そして、その恩恵を最も受けるのは、日本かもしれません。
実は一番得するのは日本!?
そして驚くことに、この北極海航路・北西航路、そして既存の北米航路やパナマ運河経由の航路も通過する極めて重要な海峡が、日本にあります。今まで上海から西に向かっていた欧州航路が北極海経由になると、北米航路とともに東へ向かうことになり、その先には日本海、そして津軽海峡があるのです。
その先の北海道の東側が、北極海方面と北米方面の分岐点になります。
日本はトランプ大統領のように領地を買ったりしなくても、この超重要な津軽海峡を持っているというのは本当に凄い状況です。津軽海峡は国際海峡なので、どの国の船も自由に通行できます。津軽半島の竜飛岬は北の最果てという印象で寂しい状況ですが、その先には世界最大の物流幹線があり、もしかしたらその規模が2倍近くに伸びる可能性もあります。
「南のシンガポール、北の北海道」に?
さて、世界第1位の港は上海港ですが、世界第2位はシンガポール港(3728万9000TEU)です。シンガポール港はマラッカ海峡に近く、欧州航路を行き交う船舶の重要な補給・積替え地となっています。しかしシンガポール発着の貨物は少なく、主には各国から来た船がコンテナを積み替えています。
それを見た隣のマレーシアは、タンジュンペラパス港(1051万3000TEU)やポートケラン港(1322万TEU)を整備し、そちらもコンテナを積み替える船で賑わっています。3港の合計は6102万2000TEUで、東京港(443万TEU)のおよそ14倍です。
つまり、大幹線航路の海峡には莫大なビジネスチャンスがあるのです。世界最大の貨物通過量になるかもしれない津軽海峡ですが、今はほぼ未開発です。駅前の賑わう一等地で店のシャッターを閉じているような状態と言っていいでしょう。
むしろ中国が、前出した「氷上のシルクロード」構想で、南のシンガポールと並ぶ北の拠点として北海道の釧路港を位置付けているほどです。
現状の北米航路だけでも相当なチャンスはありますし、ここにもし北極海航路が開通したら一体どうなることやら。トンデモ発言と思われていたトランプ大統領の戦略が、もしかしたら日本にとってビッグチャンスになるかもしれません。
※一部修正しました(1/26)
Writer: 山田和昭(日本鉄道マーケティング代表、元若桜鉄道社長)
1987年早大理工卒。若桜鉄道の公募社長として経営再建に取り組んだほか、近江鉄道の上下分離の推進、由利高原鉄道、定期航路 津エアポートラインに携わる。現在、日本鉄道マーケティング代表として鉄道の再生支援・講演・執筆、物流改革等を行う。
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