「“岡山”といえばこの特急」だったのに 瀬戸大橋を渡らなくなる「うずしお」にオールドファン衝撃のワケ

2025年3月15日に行われるダイヤ改正で、JR四国の特急「うずしお」の岡山発着が廃止されます。これは歴史的に大きな転換点かもしれません。そこで「うずしお」の変遷とともに、今回の改正を紐解きます。

山陽新幹線岡山開通とともに姿を消した初代「うずしお」

 当時の「うずしお」は東京~宇野間を1往復していた特急「富士」の間合い運用がとられていたため、車両はボンネット型の151系特急電車で、客車展望車の後継として大型窓が設けられた“パーラーカー”と食堂車が連結されたことが特徴的でした。

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岡山駅で。19時05分発の「うずしお」は高知行きの「南風」と宇多津まで併結で運行(画像:PIXTA)。

 大阪~宇野間の停車駅は神戸、姫路、岡山のみ。2時間50分で大阪~宇野間を結び、宇野で10分後の宇高連絡船に接続していました。

 その後1964(昭和39)年に東海道新幹線が開通すると、新大阪発の列車も登場。大阪から宇高連絡船の乗換駅である宇野をめざす、最速達タイプの昼行特急として君臨しました。今となっては消え果た“夢”ではありますが、もしもフリーゲージトレインが成功していたら、山陽新幹線から四国へと直通する新幹線の愛称は「うずしお」になっていたかもしれません。それほど昭和において「うずしお」は四国アクセスを象徴する列車でした。

 この初代特急「うずしお」は1972(昭和47)年3月、山陽新幹線新大阪~岡山間の開業とともに姿を消しました。それから16年の時を経て岡山~高松~徳島間に復活したのが2代目特急「うずしお」でしたが、前述の通り、3月14日を最後にふたたび岡山からその姿を消すことになったのです。

新生「うずしお」はパターンダイヤ導入

 今回のダイヤ改正後の特急「うずしお」ですが、これまで以上に高松駅においての接続がしやすく設定されることが同時に発表となっています。日中を中心とした多くの時間帯で、特急「うずしお」から快速「マリンライナー」への接続が10分以内となります。

 これは、JR四国が進めている“持続可能な公共交通ネットワーク「四国モデル」の確立を目指す”一環として、パターンダイヤを導入していることにも関連します。

 パターンダイヤとは一定の周期で発着が組まれるダイヤのことで、毎時の発着が同一分に設定されるダイヤのことです。例えば今回のダイヤ改正により、高松駅発の特急「うずしお」は9時~20時の時間帯においてすべて10分発になります。12時~21時台の快速「マリンライナー」が毎時5~7分の間に高松着になるため、実際には高松駅で3~5分の乗り継ぎ時間で、徳島行きの特急「うずしお」が発車することになります。

 つまり岡山発着の特急「うずしお」は消滅してしまうものの、パターンダイヤを組むことで乗り継ぎのストレスをなくし、スムーズに徳島へと向かう乗客への配慮も同時に進められているのです。

 初代と二代目、それぞれを見続けた岡山から「うずしお」が姿を消してしまう一方で、新しい「四国モデル」のダイヤが着々と進歩し続けています。寂しさはあるものの、ダイヤ改正ごとに進化するJR四国にも注目していきたいと思います。

【「ボンネット特急」でした!】昭和の「うずしお」と言えばコレです(写真)

Writer:

1972年埼玉県浦和市(現・さいたま市)生まれ。雑誌「旅と鉄道」元編集長。26年間にわたる編集プロダクション、出版社勤務において、編集者として400点以上の雑誌、ムック、書籍を制作。2024年に独立。

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