「高速鉄道1000kmつくります!」今までなかったのが不思議なくらい? それでも“黄信号”が灯るカナダの大風呂敷

カナダが東部の主要都市間を結ぶ全長1000kmの高速鉄道を整備する計画を発表しました。それを実現する財政基盤や技術力もあり、経済効果も見込めるものの、計画には暗雲が立ち込めているようです。

まさかの白紙撤回の恐れも!?

 アルトは4~5年をかけて設計を進める計画ですが、軌道に乗るかどうかは未知数です。というのも、首相と与党自由党党首を2025年3月に辞任予定のトルドー氏は求心力が低下しており、“置き土産”となるアルトの強力な推進役が不在のためです。

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VIA鉄道カナダの新型車両(画像:VIA鉄道カナダ)。

 カナダ放送協会(CBC)によると、2月17日の支持政党調査で保守党が42.2%と首位で、2位の自由党の26.5%に大差を付けています。3月9日に決まるトルドー氏後継の自由党党首が巻き返す余地はあるものの、10月までに実施される議会下院の総選挙で野党保守党が政権を奪還するとの見方が支配的です。

 保守党が政権を握った場合、ピエール・ポワリエーブル党首が首相に就く見通しです。ポワリエーブル氏はトルドー氏のことを「いかれた奴」と呼ぶなど“反トルドー色”を前面に出して人気を集めており、首相になればトルドー政権の政策を大幅に見直すのは確実です。投資額が最大1200億カナダドルになると試算されているアルトもやり玉に挙がり、白紙撤回されるとの予想が出ています。

 実際、保守党のフィリップ・ローレンス下院議員は放送局CTVに対し、アルトの計画発表について「レームダック(死に体)政権によるレームダック声明だ」と揶揄し、「自由党は高速鉄道計画に9年をかけたが、残したのは高額なコンサルタントへの支出だけだった」と批判するコメントを出しました。

 アルトは低い音域の女性の声域を指しますが、トルドー政権肝いりのアルト計画も声を落とすような結末が待ち受けているのではないかと気がかりです。

【地図/写真】これが「カナダの1000km高速鉄道計画」です!

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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