「高速鉄道1000kmつくります!」今までなかったのが不思議なくらい? それでも“黄信号”が灯るカナダの大風呂敷

カナダが東部の主要都市間を結ぶ全長1000kmの高速鉄道を整備する計画を発表しました。それを実現する財政基盤や技術力もあり、経済効果も見込めるものの、計画には暗雲が立ち込めているようです。

沿線予定地域にはGDPの約4割が集中

 カナダのジャスティン・トルドー首相は2025年2月19日、東部の主要都市を最高速度時速300kmで結ぶ高速鉄道を整備する計画を発表しました。しかし、前途には難題が立ちはだかっており、実現性には「黄信号」が灯っています。

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カナダ高速鉄道「Alto」のウェブサイトに掲載されたイメージ。車両は高速列車ではなく、ドイツ鉄道(DB)の通勤電車442型(公式サイトより)。

「Alto(アルト)」と名付けられたカナダの高速鉄道計画は、カナダで人口が最大の都市のオンタリオ州トロントと、東部ケベック州の州都ケベックシティーのあいだ約1000kmをつなぎます。電化した専用軌道を設け、途中に首都オタワ、カナダで2番目のケベック州モントリオールなど計5つの駅を設置します。

 アルトが建設予定の地域には約1800万人が住み、カナダの国内総生産(GDP)の約4割を稼ぎ出しています。このため、トルドー首相は高速鉄道ができれば「ゲームチェンジャー(変革者)になる」と訴え、年間GDPを最大で350億カナダドル(約3兆6700億円)押し上げると試算しました。

 中でも移動需要が大きい約540km離れたトロントとモントリオールのあいだは、国営の旅客鉄道運行企業、VIA鉄道カナダが5時間半前後で結んでいます。同程度の距離がある東海道・山陽新幹線の東京-新神戸間が「のぞみ」で2時間40分前後なのに比べて所要時間は2倍余りです。

 これはVIA鉄道の列車は最高速度が120km/hにとどまるのに加え、使う線路を貨物鉄道が所有しているため「貨物列車を優先して走らせる権利を持ち、旅客列車は後回しにされている」(VIA鉄道の乗務員)という事情もあります。

 このため、一刻を争うビジネス客の多くは旅客機で移動しており、カナダ航空最大手のエア・カナダはトロントのピアソン国際空港とモントリオール国際空港を約1時間半で飛んでいます。ただ、郊外にある空港への移動や、手荷物検査などを含めると移動に最短でも約3時間半かかります。

 アルトが開通すればトロントとモントリオールを3時間7分で結ぶため、旅客機に対抗できる競争力を持ち、二酸化炭素(CO2)排出量が旅客機より少ないため脱炭素化にも寄与します。

【地図/写真】これが「カナダの1000km高速鉄道計画」です!

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