戦闘機の“コスパ大幅アップ”を実現した兵器とは? まさしくウクライナ戦争での「ゲームチェンジャー」だ!

ロシアのウクライナ侵攻で、多くの兵器が注目を浴びましたが、その1つに滑空爆弾があります。ただ滑空爆弾の原理自体は第二次大戦中からありました。では、なぜ21世紀に入ってから注目を集めるようになったのでしょうか。

滑空爆弾だとパイロットの生還率も大幅に向上

 ウクライナ戦争では、ロシア・ウクライナ双方が滑空爆弾を積極的に運用しています。ロシア軍は主にSu-34戦闘爆撃機などに搭載し、遠距離から精密爆撃を行っています。一方、ウクライナ軍も西側の支援を受けながら滑空爆弾を導入し、旧ソ連製のSu-25などに搭載してロシア軍の拠点や補給線を攻撃する戦術を採っています。

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誘導爆弾も使用可能だが無誘導爆弾を大量に搭載したSu-25攻撃機(関 賢太郎撮影)。

 滑空爆弾の普及は、戦闘機の爆撃効率を飛躍的に向上させています。従来、戦闘機が効果的な爆撃を行うためには、敵防空網を突破し、比較的低空で爆弾を投下する必要がありました。しかし、滑空爆弾の登場により、戦闘機は敵の対空ミサイルの射程圏外から攻撃できるようになったのです。これにより、航空作戦における撃墜リスクが大幅に低減され、戦闘機の生残性が向上しました。

 滑空爆弾はその原理上、射程は投下した際の高度や速度に大きく依存します。しかし高高度は長距離地対空ミサイルの射程圏内に入ってしまうため、ロシア空軍やウクライナ空軍では地対空ミサイルがカバーできない超低空飛行から、急激に上昇し滑空爆弾を放り投げる「トスボミング」を多用しています。こうすることで、滑空爆弾は放物線を描くように飛んでいくため、距離を稼ぎながら同時に誘導による精密爆撃も可能にしています。

 滑空爆弾は今後も航空戦の主力兵器としての地位を確立することが予想されます。一方でGPS妨害技術による精度低下といった問題もあり、赤外線画像認識による誘導やミリ波レーダ―での誘導といった、妨害を受けにくい誘導方式を採用したものも登場しています。

 いずれにせよ、滑空爆弾は現代戦における航空作戦のあり方を大きく変えた兵器であることは間違いありません。今後の戦争においても中心的な役割を果たし続けることは確実でしょう。

【画像】これがコンクリート製掩体に命中する瞬間の滑空爆弾です

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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