日本の技術に熱視線!でも「技術だけ持ち出されたら困る…」 英防衛大手メーカーが語る「中小企業との付き合い方」
イギリスの最大手防衛関連企業であるBAEシステムズが、来日中の担当者を交えたメディア説明会を実施しました。そこで語られたのは、同社による他企業との提携手法、そして日本市場へのまなざしでした。
BAEシステムズが注目する「日本の技術」とは
メリイウェザー氏は、今回日本にやってきた目的について次のように述べました。
「ひとつは、我々の技術を日本の皆様にご紹介すること、そしてもう一つは我が社が日本の企業などが有する技術について理解を深めることです。我々は、日本を市場として非常に重視しており、日本が有する技術や能力などについて理解を深め、それによって提携可能なパートナーを探していきたいと考えています」
このように、メリイウェザー氏は日本の企業動向を含めた市場調査のために来日し、さらに日本における提携パートナーを探していると明かしました。そして、特に同氏が注目しているのは、日本の「無人飛行艇」だといいます。
メリイウェザー氏は特定の企業名について言及しませんでしたが、この分野ですでに実績のあるのは「US-2」のメーカーである新明和工業、あるいはスタートアップ企業としては、福島県に拠点を置く「スペースエンターテインメントラボラトリー」くらいでしょう。後者は、全自動で離着水が可能な無人飛行艇「HAMADORI 3000」(全長約1.9m、翼幅3.1m)をすでに開発・運用しており、さらにその発展型ともいえる新型飛行艇を現在開発中です。
スペースエンターテインメントの新型飛行艇は、機体を双胴型にした「HAMADORI Catamaran」と呼ばれるもので、中央部のスペースに搭載物を吊り下げられるものです。たとえば、海洋調査用の水中無人機や輸送物などを積み込み、海洋科学調査や物資輸送を行うなど、幅広い分野での活用が見込まれています。
今後、こうした日本のスタートアップ企業が防衛関連事業に続々と進出してくることが予想されますし、あわせて海外への輸出も目指していきたいところでしょう。BAEシステムズをはじめとする海外の防衛メジャーも、その事業拡大を支援する形などで、直接的に製品を売り込むだけでない日本市場への参入を模索しているようです。
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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