日本屈指の「海に近い新駅」開業に水差す“縄張り争い” 「バス停移設して」勧告むなしくポツンとそのまま どうしてこうなった?

鹿児島市内に新駅「仙巌園」が開業しました。日本屈指ともいえる「海に近い駅」ですが、プラットホームからの美しい景色とは対照的に、駅前での“縄張り争い”が祝福ムードに水を差す事態となっています。

「バス停標識は残った」 使われないバスベイ

 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は仙巌園駅の開業を控えた2025年3月中旬、地元紙「南日本新聞」3月4日付の紙面を携えて駅前を訪れました。記事が指摘した通り、国道10号の鹿児島市街地へ向かう2車線のうち、左折車線上にはバス停「仙巌園前」の標識が残されたままになっていました。

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国道10号の左側車線上に残された「仙巌園前」バス停標識。左奥は仙巌園の入り口(大塚圭一郎撮影)

 国土交通省鹿児島国道事務所によると、相次いでいた自動車の追突事故を減らすために仙巌園前付近の通行ルートを2024年3月に変更。国道10号の鹿児島市街地方面に約200mの左折車線を設け、車線に沿った歩道に切れ込みを入れて路線バスが停車できるスペース(バスベイ)を新設しました。

 ところが、バス停標識は左折車線上の元の位置に残されたままで、今も鹿児島交通と南国交通の鹿児島中央駅行きバスの乗り場となっています。

 故山本周五郎氏の小説『樅ノ木(もみのき)は残った』ならぬ「バス停標識は残った」と呼ぶべき光景で、この背景に対立劇があるのも共通しています。

 南日本新聞の記事によると、鹿児島交通はバス停の移設に応じない理由として仙巌園駅開業による渋滞悪化への懸念を挙げて「開業で渋滞が発生した際の対応を約束してもらえない限り、標識の移設にも協力できない」とコメントしています。一方、南国交通は「現在より安全性が向上する」として移設に賛成しています。

 鹿児島国道事務所は2025年2月14日付で、鹿児島県バス協会に対してバス停標識の移設を求める勧告書を出しました。国は工事に支障がある場合は動かす条件でバス停標識の設置を許可しており、仙巌園駅開業前日の3月14日までの移設を求めました。

 これに対し、県バス協会は3月7日付で国交省の勧告書に対して「承諾できない」と回答。バス停標識が元の位置にとどまったまま新駅開業を迎えました。

【なぜ…?】国道の左折車線に居座った「ポツンとバス停」(写真)

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