「ゆりかもめ」と自国の地下鉄を区別できない!? 米運輸長官の“取り違え”動画に批判 失礼千万な動画の「狙い」とは

アメリカの運輸長官がニューヨーク地下鉄を舌鋒鋭く批判する動画に、東京の新交通システム「ゆりかもめ」が登場し、物議を醸しています。動画で発したメッセージには、背景にある政党対立が潜んでいました。

地下鉄関係者を驚かせた「日本の車両」

 確かにエディ・マーフィ氏が主演し、ニューヨークを舞台にした1988年公開のコメディー映画「星の王子 ニューヨークに行く」には落書きだらけの車両が登場します。そんなニューヨーク地下鉄のイメージ改善に大きく貢献した立役者が、日本の川崎重工業(川重)グループでした。

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川崎重工業グループが製造したニューヨーク地下鉄の車両「R160」(大塚圭一郎撮影)。

 川重が1982年に初めて受注したステンレス製車両「R62」は「故障が起きるまでの走行距離がそれまでの車両より格段に長くなり、(地下鉄を抱える)都市圏交通公社(MTA)が目を丸くした」(元川重役員)と言います。

 高品質に加えて納期を守ろうとする姿勢も評価された川重は受注を重ね、累計2200両を超える車両を納入してメーカー別シェアは約3分の1と首位です。サービス改善に向けて導入した最新型車両「R211」は2025年の追加受注後の受注車両数が1610両、総額約45億ドル(1ドル=150円で約6750億円)となり、川重の鉄道車両で過去最大規模となりました。

 MTAによると、地下鉄車両が修理を受けるまでに走った平均距離は2025年2月で18万キロと、川重が納入する以前、1982年(約1万1500キロ)の16倍弱に延びました。

 また、24時間運行している地下鉄の治安強化に向けてニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(民主党)は2025年1月、21時~翌5時に全ての地下鉄で警官を乗務させると発表しました。

 ダフィー氏は動画で「暴力犯罪が増加した」と放言しましたが、MTAの政策・渉外担当責任者のジョン・マッカーシー氏は、警官の乗務の効果もあって「2025年に入ってからの犯罪件数は、新型コロナウイルス禍が本格化した前の2020年の同時期に比べて40%減り、重大犯罪はコロナ禍以外の年では最少件数になっている」と反論しました。

【似てる…?】ゆりかもめが間違えられた「NY地下鉄」(写真)

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