「あ、アゴがあるぞこの機体!」F-47の先輩 ボーイング試作戦闘機 X-32 F-35より優秀な部分もあったのになぜ負けた?

国立アメリカ空軍博物館は2024年7月4日、試作機のX-32の館内展示を開始したと公式YouTubeチャンネルで発表しました。同機はアメリカでは「最も醜い戦闘機」のひとつとして定期的にネタにされています。

「最も醜い戦闘機」と呼ばれる訳とは?

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は2025年3月21日、次世代航空支配(NGAD)を「F-47」と命名し、開発契約をボーイングと結んだと発表しました。この決定により次期戦闘機である同機はボーイング製となる訳ですが、同社製の次世代機としては、過去に強烈な印象を残した機体があります。X-32です。

Large 20250327 01

拡大画像

X-32のコックピット部分(画像:アメリカ空軍)。

 同機は、2024年現在、アメリカ空軍ほか世界各国で使用されているロッキード・マーチン製のステルス戦闘機F-35 「ライトニングII」と正式採用をかけて争ったボーイング製のライバル機になります。最新のNGADでもボーイングとロッキード・マーチンは競いましたが、このときはロッキード・マーチンに軍配があがりました。このとき、X-32はその姿が大きな話題を呼びました。

 同機が生まれる端緒となったのは、統合打撃戦闘機計画(JSF計画)と呼ばれる新型機の開発プロジェクトです。これはアメリカ、イギリス、カナダなど計9か国の戦闘機および戦闘攻撃機、対地攻撃機、空母艦載機などを全て1機種で置き換えようというもので、大掛かりな計画ゆえに、もし採用されればかなりの機数の製造が見込める航空機メーカーにとっては負けられないトライアルだったのでした。1990年代にこのトライアルは開始され、ロッキード・マーチンがX-35(後のF-35)を、ボーイングが前出のX-32を提案しました。

 このX-32で、ボーイングは水平尾翼を持たない無尾翼デルタ機という野心的な設計を採用。その設計の関係か、エアインテーク周りが特徴的な出っ張りになっているため、その見た目からアメリカでは「最も醜い戦闘機」のひとつとして定期的にネタにされ、日本でもその外観から「シャクレ」「アゴ」などと呼ばれています。なお、ステルス性能は同機の方が優秀であったと言われています。しかし、野心的な設計が災いし、評価テストでは大きな問題を抱えることになってしまいました。

【何か喋りそう…】これが、容姿をネタにされる戦闘機です(写真)

最新記事

コメント

2件のコメント

  1. 「「あ、アゴがあるぞこの機体!」F-47の先輩 ボーイング試作戦闘機 X-32 F-35より優秀な部分もあったのになぜ負けた?」という記事の  「・・・アメリカ海兵隊機に必要だったSTOVL (垂直離着陸)機能でした。」という箇所ですが、STOVLは(垂直離着陸)ではなく【短距離離陸 垂直着陸】です、垂直離着陸はVTOLですので、STOVLは(短距離離陸 垂直着陸)に記述を訂正する必要があると思います。

  2. 好きだけど

    完成度でハッキリ負けたということ