「あ、アゴがあるぞこの機体!」F-47の先輩 ボーイング試作戦闘機 X-32 F-35より優秀な部分もあったのになぜ負けた?

国立アメリカ空軍博物館は2024年7月4日、試作機のX-32の館内展示を開始したと公式YouTubeチャンネルで発表しました。同機はアメリカでは「最も醜い戦闘機」のひとつとして定期的にネタにされています。

テストをしてみると色々問題が明らかに…

 JSF計画でかなり重要だったのが、イギリスやイタリアの空母艦載機やアメリカ海兵隊機に必要だったSTOVL (垂直/短距離離着陸)機能でした。このい機能に関し、両機の実験を行った際、X-35が、途中で手を加えず超音速飛行の後ですぐさまSTOVLの検証に移れたのに対し、X-32は一部部品を変更する必要がありました。ボーイングは、量産型ではこの変更は必要ないと約束したものの、当然、印象は良くありませんでした。

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F-35の試作機であるX-35(画像:アメリカ空軍)

 さらに、離着陸の方法が、AV-8B「ハリアー II」に似た直接排気方式だったことも不評だったそうです。ほかにも、実証機の製造から8か月後に、海軍から操縦性の改善が要求され、無尾翼デルタという肝心な特徴まで無くした、X-32Bという水平尾翼があるタイプが新たに提案されるなど、X-35に比べ量産までに解決すべき課題が多くありました。

 こうした、正式採用を留まらせる要因が同機には多くあり、2001年10月26日にJSF計画の採用機体はX-35に決定したようです。それから20年以上、F-35として制式化された同機は、アメリカ空海軍および海兵隊のほか、日本の航空自衛隊を含む多数の国で導入が進むベストセラー機にまで昇華しています。

 一方、X-32は採用競争に敗れた後、2005年になって国立アメリカ空軍博物館に収蔵されることになりましたが、長らく屋外に放置されることに。野ざらしのため機体も傷んでいましたが2022年末から、館内展示に先立ち機体全体の点検と大規模な修理を行うことを決定。2025年現在は、すでに研究開発ギャラリーコーナーで展示済みとなっています。

 NGADの試験機自体は2020年代に入ってから秘密裏に各種の実験などを行っていたようで、F-47は早ければトランプ大統領の任期中にも試作機が初飛行するともいわれています。果たしてどんな“容姿”になるのか注目です。

※一部修正しました(3月27日13時30分)。

【何か喋りそう…】これが、容姿をネタにされる戦闘機です(写真)

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ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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コメント

2件のコメント

  1. 「「あ、アゴがあるぞこの機体!」F-47の先輩 ボーイング試作戦闘機 X-32 F-35より優秀な部分もあったのになぜ負けた?」という記事の  「・・・アメリカ海兵隊機に必要だったSTOVL (垂直離着陸)機能でした。」という箇所ですが、STOVLは(垂直離着陸)ではなく【短距離離陸 垂直着陸】です、垂直離着陸はVTOLですので、STOVLは(短距離離陸 垂直着陸)に記述を訂正する必要があると思います。

  2. 好きだけど

    完成度でハッキリ負けたということ