なぜ撃てない!?「最強戦闘機」の奇天烈なミサイル搭載モードとは 実は大きな意義が
米空軍のF-22「ラプター」戦闘機は、高いステルス性を維持するためミサイルなどの兵装を機内に収容します。一応、翼下にミサイルを吊り下げることも可能ですが、この方法だと撃てません。一体どんなメリットがあるのでしょうか。
湾岸戦争の教訓が発端か
主翼下の兵装搭載ステーションは、アメリカ本土から遠く離れた地に展開する際、追加のミサイルを携行するために用いられます。F-22は通常、ウェポンベイ内にAIM-120を最大6発、AIM-9Xを最大2発搭載できます。

しかし、熾烈な空中戦を繰り広げるうちに、すべてのミサイルを撃ち尽くしてしまう可能性があります。もし、この段階で補給が受けられなければ、F-22は戦闘能力を喪失し、戦線からの離脱を余儀なくされるでしょう。
そこで、主翼下の兵装搭載ステーションに予備のミサイルを搭載して遠方の飛行場へ展開し、戦闘ミッションを行う前に地上に降ろしておけば、本格的な輸送拠点が構築されるまで、数ソーティー(出撃回数)を、燃料を調達するだけで行うことが可能になります。すなわち、自ら運んできたミサイルで再武装し再出撃することが可能になるのです。
空輸可能なミサイルの数は、ウェポンベイと外部搭載を加算しAIM-120であれば最大14発にまで増えます。また兵装搭載ステーションには外部燃料タンクも搭載可能です。こちらは国外へ展開する機体に装備されている姿がよく目撃されています。
過去に目を向けると、1990年に起きたイラクによるクウェート侵攻の際、アメリカ空軍はF-15「イーグル」戦闘機を即時サウジアラビアへと派遣し、空中パトロールを行っています。F-22のミサイル外部搭載能力は、このような事態を見越して用意されているものであり、アメリカ空軍が全世界規模での展開を想定しているからこそ生まれたものと言えるでしょう。
将来的には外部搭載ミサイルにも射撃能力が与えられ、非ステルス状態での作戦投入も可能であると考えられます。特にドローンや巡航ミサイルなどに対処するための戦いにおいては、ステルス性よりもミサイル搭載数が何よりも重要です。
なお、現在開発中の大型長距離空対空ミサイルAIM-260「JATM」は、外部搭載兵装の有力候補となり得ますが、F-22のアップグレード計画には優先すべき項目が多いため、この改修が早期に実現する可能性は低いと考えられます。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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