「不正通行にはならない」ETC障害で国交相、刑事責任に問われる可能性を否定 NEXCOは「お支払いを」 どういうことなのか?

高速道路で発生した大規模ETCシステム障害。NEXCO中日本は障害発生時の利用者に対して料金の支払いを求めていますが、多くが応じていません。高速道路行政を担う国交省は、今回の障害で利用者が刑事責任を問われる可能性を否定しました。

NEXCOは「お支払いを」

 NEXCO中日本の供用約款には「高速道路の設置又は管理に瑕疵があったために利用者に損害を生じたときは、会社は、これを賠償する」(第10条)という条項があり、さらに利用者側にも責任がある免責事項も定めています。免責事項があれば、同社による賠償を減額するという内容です。ただ、この中にシステム障害を免責する規定はありません。9日の同社会見で縄田氏は供用約款に基づき請求すると説明しました。

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NEXCO中日本のETCシステム障害について対応を説明する中野洋昌国交相。2025年4月11日(中島みなみ撮影)。

 これについて、中野国交相は11日の閣議後会見の中で言及しています。

「約款上の取り扱いで(高速道路会社の)賠償になる原因が何かということで、瑕疵(かし)があるときとなっている。一般的には道路構造物の損傷など物理的な瑕疵を想定して賠償するという項目があると聞いている(というNEXCO中日本の説明)。原因究明を進めているが、広域的なシステム障害時の料金の取り扱いについて明確な規定がないことも課題と認識している。そういう意味で広域的なシステム障害時のマニュアルを早く作成するようにと指示した。有識者委員会では料金の取り扱い、瑕疵について、しっかり整理していくものだと考えている」

 また、合わせて有料道路課は、次のような見解を示しました。

「約款上は(賠償において)システム障害が除かれるという明確な書き方はしてない。繰り返しになるが、NEXCOが想定しているのは道路構造物の損傷による瑕疵。具体的な取り扱いは、今後の有識者の検討委員会で含めて議論されると聞いている」

 結局、NEXCO中日本の料金請求の根拠は、約款になくても同社の解釈次第、ということになるのでしょうか。供用約款に基づき請求を続けるとした同社にも、根拠となる条文について尋ねましたが、現状で回答はありませんでした。

【最新版】これが「今わかっている」ETC障害の原因です(画像)

Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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コメント

5件のコメント

  1. ETCやめて、無料化すれば良いんだよ。国と国民の約束なんだから早急に履行すべきです。有料化したいなら、そこから始めればいい話。

  2. マニュアルが無かった?のにびっくり

  3. 刑事処分の対象にならないのは当然の話。問題になるのは民事の方でしょ

    数万件に及ぶ数百〜数千円の請求のために裁判する可能性は低いけど、それでも民事訴訟起こされたら正当性なく準国家機関であるNEXCOに抗弁するのは絶対不可能。

    まあ高額利用者の不払い数件に裁判かけて報道させ他に支払い促す方向に来るかと。

  4. 被害を受けた利用者は一旦通行料を支払った上で、システム上の瑕疵により損害を被ったことについて集団訴訟で損害賠償請求をしたら良いと思う。

  5. 2007年10月に関東近辺で自動改札故障のときはラッシュ時間帯は開放して定期券の人を素通りで対応しました。Suica残高の人は券売機できっぷを買わせる対応でした。しかし高速道路は車を運転しているため安易に対応出来ませんね。例えば自動改札に無効なきっぷを入れたらゲートが閉まり戻れるが高速道路で無効なETCカードをゲートで気づいてもバックしたら危険だし。